喪失編
二話
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を持ち上げたまま船に逃げる連中を見る。
逃げられると思っているのか。
無知とは時に残酷だ。
俺は吸血し終えた海賊を手から放し、腰にある無限ナイフを数本取り出す。
練習成果を試すのに、丁度良い。
ふとDIOの決め台詞が蘇る。
「チェックメイトだ」
ヒュンヒュン......!
グサッと音を立てて、全員が倒れた。
背後からの奇襲、それに加え、獣で慣らしたナイフは獣に比べ、遅い人間を正確に克つ簡単に絶命へと至らしめた。
だが、やはり何も心には浮かばない。
俺は感情が人より薄く出来てるのもかもしれない。
海賊船の甲板に上がり、船長を探す。
無論生かして置くつもりはない。
だが、何人かはゾンビ化させ、眷属としこの船を動かす人員として、残しておく必要がある。
この島を出るためにも。
「出てこい。居るのは分かっている」
その為にも順番に物事を進めていく。
海賊達はこの船に逃げ込んだ時点で死を受け入れたに等しい。
例え、島に逃げても少し死の時間が伸びるだけだが。
「わ、分かった。今出る.....」
少しして船長室から顔を青ざめさせた船長と海賊2人が出てきた。
既に手には剣は無く、ただ両手を上に上げている。
抵抗する気は無さそうだ。
「生きているのはお前達だけか?」
「そうです.....」
答えたのは、強気そうな少女だ。
だが、今はそのなりも潜め、ブルブルと震える様は小動物を連想させる。
必死に涙を堪えたような瞳でこっちをじっと見ていた。
「では、覚悟は決めて」
「ま、待ってくれ!あ、謝る、船にある宝も全部やる!だから命だけは」
無様に這いつくばった船長に少女以外の海賊の男が這いつくばる。
生への執着心がそうさせているのだろう。
普通の人間は死に直面すれば、何とか逃れようとする。
そして。
「お前の言っている宝はお前が死ねば、必然的に俺の物だ。謝罪に至っては非生産的な行為なだけで意味はない。よってどれも交渉素材にはなり得ない」
逃れられない事を知り、絶望する。
「お前らの死は変わらない」
パァン!
そう言い終えた途端、俺の頭を銃弾が貫いた。
俺はバタッと船の甲板へ俯せに倒れる。
額の血が頬を伝い、甲板を汚す。
「へっ、馬鹿が!調子に乗りやがって」
船長の声と共に俺の体へ足が乗せられる。
撃ったのは、船長だ。
迂闊にも懐に隠していた銃で頭を撃ち抜かれたようだ。
油断していた。
だが、やはり......
「何が交渉素材になり得ない、だ!」
やはり無知とは残酷だ。
ガシッ!
「何だ?......あ、あああぁああああ」
足の違和感に下を向いた船長は恐怖のあまり顔から汗を
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