第一章 護れなかった少年
第十一話 夢と予感 (後)
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にすんだ二千人や!しかもただの二千人ちゃうで。ほとんど全部がほかのMMOじゃトップ張ってたベテランやったんやぞ!!アホテスター達がちゃんと情報やらアイテムやら、金やら分け合うとったら、今頃ここには十倍の人数が......ちゃう、今頃は二層やら三層まで突破できとったに違いないんや!!」
と、それに対して、エギルさんは冷静に返した。
「あんたはそう言うが、キバオウさん。金やアイテムはともかく、情報ならあったと思うぞ」
そして、腰元につけている大型ポーチから、羊皮紙を閉じた簡易な本アイテムを取り出す。表紙には丸い耳と左右三本ずつのひげを図案化した、《鼠マーク》。
「このガイドブック、あんただってもらっただろう? 何せ、ホルンカやメダイの道具屋で無料配布されてたんだからな」
......マジか......。
ちなみにあれは、アルゴさんの作った、SAOの攻略本のような物だ。
ちなみに僕は、一冊五百コルと言う、安くないお金を支払って全巻コンプリートしている。
が、どうやら無料配布もしていたらしい。
「貰たで。それが何や」
トゲトゲしい声で言うキバオウさん。
対してエギルさんは本をポーチにしまい、腕組みして口を開いた。
「このガイドは、オレが新しい街に着くと、必ず道具屋にあった。あんたもそうだったろ。情報が早すぎる、とは思わなかったのか」
「せやから、早かったら何やっちゅうんや!!」
「コイツに載っているモンスターや、マップの情報を提供したのはβテスター達以外あり得ない、ってことだ」
その声でプレイヤー達が一気にざわついた。
キバオウさんはぐっと口を閉じ、背後のディアベルさんがなるほどとばかりに頷く。
「いいか、情報はあったんだ。なのに沢山のプレイヤーが死んだ。その理由は、彼らがベテランプレイヤーだったからだとオレは考えている。このSAOを他のタイトルと同じ物差しで測り、そして引き際を見誤った。だが、今はその責任を追及している場合じゃ無いだろ。オレ達自身がそうなるかどうか、それがこの会議で左右されるとオレは思っているんだがな」
エギルさん、流石の堂々っぷりっす。
さらに言っていることもこの上なく真っ当で、だから、キバオウさんも噛みつけなかったのだろう、今はエギルさんを憎々しげに睨んでいる。
無言で対峙する二人の後ろで、噴水の縁に立ったままのディアベルさんが、夕陽を受けて紫色になりかけている長髪を揺らしてもう一度頷いた。
なんか、この光景逆〇裁判に似てるな......。
エギルさんが弁護側、キバオウさんが検事、βテスター達が容疑者、ディアベルさんが裁判長。
そしてその裁判長が口を開いた。
「キバオウさん、君の言うことも理解できるよ。オレだっ
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