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銀河英雄伝説〜悪夢編
第二十七話 そろそろ先が見えたかな
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パクトが有った。お前な、そんな無表情にさらっという事か?

一応敬意を払っている事には安心した。“皇帝が死んだ”なんてボロッと言うんじゃないかとヒヤヒヤしたわ。俺がホッとしている傍でグリンメルスハウゼンが“陛下が、陛下が”と呆然と呟いている。これでこの老人ともお別れか、ようやく御守りから解放されるわけだ、フリードリヒ四世には悪いがもう少し早くても良かったな。

「何時お亡くなりになったのです?」
『昨夜遅くのようです。今朝、お亡くなりになっているのが確認されました。心臓疾患ではないかと……』
昨夜遅く? 今日はもう夕刻だぞ? 何故年寄り共は俺に報せてこない? オーディンは混乱しているのか? 艦橋でもざわめく声が聞こえる、同じ疑問を持ったのだろう。

「大佐は何時知ったのです」
『二時間程前です、事実確認に時間がかかりました。確認先はエーレンベルク元帥です』
緘口令が布かれているのか……。それは理解できるがこっちには報せるべきだろう、何を考えている! 信用していないという事か、或いは俺の事など所詮は道具と見て報せる必要性を認めなかったか……。

「オーディンの状況は?」
『今のところは落ち着いていますが貴族達も疑い始めたようです。この先はどうなるか分かりません』
「分かりました。また何か動きが出たら教えてください」
『はっ』
敬礼をすると通信が切れた。指揮官席ではグリンメルスハウゼンが涙を流している。

急がないといけない。オーディンで貴族達が騒ぎ出す前に同盟軍を叩く。それによって軍の力を帝国全土に知らしめる。そうすれば貴族共も容易には動けないはずだ。
「閣下」
「あ、何かな」
いかん、グリンメルスハウゼンの爺さんは涙だけじゃなくて鼻水まで出している……。やる気が削がれそうだ……。俺の最大の敵は同盟軍よりもこの老人のような気がしてきた。

「これより反乱軍に対して反撃を開始します」
「あ、う、そうか」
「各艦隊司令官を呼んで作戦会議を開きます、閣下にも参加して頂きたいのですが」
「あ、いや、総参謀長に任せる。私は部屋で休ませて欲しい」
「分かりました」

頼むよ、泣くなとは言わない、そこまで俺は人でなしじゃない。でもな、こんな時ぐらい指揮官らしくしてくれ。“陛下の御霊を安んじるため反乱軍を打ち払え”とか檄を飛ばしてくれないか、その一言で味方の士気は上がるんだ……。無理だよな、平々凡々な爺様なんだから。溜息が出そうだ。ま、その方が助かるけどな。

各艦隊司令官は艦橋に集合させた。皆緊張している、突然艦橋に全員集められたのだ、当然だろう。
「これより反乱軍に対して反撃に出ます」
艦隊司令官達が顔を見合わせた。
「皇帝陛下がお亡くなりになりました」
また顔を見合わせた。だが今度は全員が驚愕を表情に
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