第二十七話 そろそろ先が見えたかな
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給を送らざるを得ないと思うが?」
「そうだ、送るべきだ」
「このままでは遠征軍が崩壊する」
出兵賛成派が補給を送る事を提案した。やはりそうか、軍の報告、いや悲鳴を利用しようと言うのか!
「撤退か侵攻を続けるのかを決めるのが先だ!」
私が言うと皆が顔を見合わせた。
「……軍の行動に掣肘を加えるような事はすべきではないだろう」
「そうだ、まだ何の結果も出ていないし……」
馬鹿な、有耶無耶にする気か……。そうか、こいつら示し合わせてきたな……。トリューニヒトはその材料を与えたわけだ、よりこいつらを深みに嵌める為に……。
会議の結論は前線で何らかの結果が出るまで軍の行動に枠を嵌めるような事はすべきではない、多数決でそういう事になった……。
帝国暦 487年 11月 20日 ヴィーレンシュタイン星域 帝国軍総旗艦ブリュンヒルト エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
同盟は前線に食料を輸送するらしい。シュタインホフ元帥から連絡が有った。まあ焼け石に水だな、同盟軍の占領地の住民は既に七千万を超えている。そして愚かな事に同盟軍は依然として侵攻を止めていない。ドーソンは自分が遠征軍の総司令官になったのは積極的に帝国領へ侵攻する事を期待されての事だと理解している。期待に背けばシトレの様に解任される。おそらくドーソンは食料の輸送が来ると信じて侵攻を続けているのだろう。
こっちもドーソンが遠征軍司令官になったと聞いて艦隊をヴィーレンシュタインまで進めた。同盟軍の崩壊は間近だからな、その機を逃がさずに同盟軍に襲い掛からないと……。さてどうするか……、物資がイゼルローン要塞に届くのは一カ月後だろう、本来ならそいつを叩いて反撃に出る、そんなところなんだが……。
オーディンが大分騒がしくなってきたらしい、となると前倒しで攻めた方が良いかもしれん。同盟軍は補給問題で肉体的にも精神的にもかなり参っているはずだ。前倒しで攻めても充分に勝てるだろう。……それにしても国内問題で軍事作戦が左右されるか、帝国も同盟もやっている事は変わらんな。後継者を決めない皇帝と次期皇帝の座を巡って勢力争いをする貴族、権力維持のために三千万将兵を死地に追い込む政治家、ウンザリする。
オペレーターがオーディンから通信が入っていると言ってきた。シュタインホフ元帥かと思ったが元帥府からだと言う。オーベルシュタイン? 何か起きたな、詰まらん事で連絡をする男じゃない。死んだか、暴発したか、或いは両方か……、良くない事の筈だ。
スクリーンにオーベルシュタインが映った。相変わらず陰気な顔だよ、実物も悪いがスクリーン映りも良くない。
「何か有りましたか、大佐」
『皇帝陛下がお亡くなりになりました』
抑揚のない声だったが艦橋を凍り付かせるには十分なイン
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