暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜過去を捨て今を生きる者〜
A’s編
ボクが”殺した”
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
あのプリクラを撮ったあと、オレたちは帰宅していた。

「ねえ、兄さん」

横に並んで歩いていた紗羅が急に立ち止まり、言う。

「どうしたんだ、紗羅」
「今日は、楽しかった・・・?」

もちろん。
そう言おうとしたが、口が動かない。

「やっぱり兄さんは”なんとなく”でしか覚えてないんだね。あの事件のこと」

事件・・・?
オレが生まれてから、事件と呼ばれるようなことはなかったはず・・・。

「そうだね。うん、今の兄さんは知ってなくてもおかしくないのかな?あの事件は、この世界では起こってないから。本当ならもう起こってる」

もう、起こっている・・・?
なぜ紗羅の知っていることを、オレが知らない?
なぜオレが知らないことを、紗羅が知っている?

「いや、やっぱ兄さんは知ってるよ。ただ、記憶を封印しているだけ。あの、」

___わたしとお父さん、お母さんが死んでしまった、事件のことを。


死ん・・・だ?でも、ここに紗羅はいる。両親だって、今朝会った。

なぜ?
その事件はこの世界では起きないから。

どうして?
・・・どうして?

わからない。
知っているはずなのに、オレはそれを知らない。

「兄さんはただ、記憶を封印しているだけ。でも、わたしはその封印を解くことができる。ねえ、兄さん。兄さんは思い出したい?わたしたちが死んでしまった事件のことを」

そんなの、知りたいわけが・・・。

「その結果、出会った、新しい家族のことを」

新しい、家族・・・?

「そう。この記憶を思い出せないのはきっと、忘れさせられたのかな。で、どうする?わたしとしては、どっちでもいいよ?どっちにしろ、わたしの行動は変わらない」

紗羅はそう言い、一度目を閉じてから、改めてオレに向き直る。

「わたしはずっと、兄さんを見守り続けてきた。だから今回も、わたしは兄さんを守ってあげる。知らないことを望むなら、わたしも知らないフリを続けて、ここを兄さんが望む永遠の楽園にする。兄さんが思い出したいのなら、封印を解いて、あの人たちのところへ送り届けてあげる」

あの人たち・・・?

「そう。兄さんもすこし覚えてるよね。今日、ずっと頭に声が響いてた。ちがう?」

紗羅の言うとおりだった。
ところどころにデジャブを感じ、大切な人の声が聞こえていた。

「どうする、兄さん?」

オレは・・・オレは、思い出したい。

「思い出して、オレは今いるべき場所に、帰りたい」
「そう言うと思ってたよ、兄さん。じゃあ、バイバイ、だね」
「え・・・?」

紗羅の声を最後に、オレは意識を落とした。



次に目を覚ましたのは、放課後の教室だった。

「なあ大吾、知ってるか?あ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ