暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
第31話 星空
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「……キリト君?」
「なんでもないです。じゃあ俺、着替えてくるよ……」

 アスナが満足げに微笑んだ。
 数分後。

「待たせちゃったな。悪い」
「そんなに待ってないわよ。ていうか……私服ほんとにテキトーだね、きみ」
「む……」

 改めて自分の格好を見ると、黒シャツに同色のズボン、これまた同色のパーカーという簡素なものだった。

「……男が服にこだわっても仕方ないだろ。着れればいいんだよ、着れれば」
「もう……」

 同時に、腕組みするアスナの服装を一瞥する。
 白いセーターと赤チェックのスカートを着ていて、胸元にはプラチナのペンダントが光っている。
 ──なにか言うべきなのだろうか。
 俺はこほんと1つ、咳払いをした。

「どうしたのキリト君、風邪……?」
「いや、まったく。その、あの………に」
「に?」

 アスナが首を傾げる。
 元々美人なアスナだが、この仕草が更に可愛らしさを高めている。

「似合ってますね、服」

 俺がぼそぼそ言うと、何故だかアスナの顔は林檎のように真っ赤に染まった。

「……ちゃんと言えるようになったじゃない」
「えっ?」
「ちょっと前だったら、会ってから時間超経過してからしか言えなかったのに」
「そ、そうだっけ?」
「そうだよー。ふふ、キリト君可愛い」
「か、可愛いって」

 ふいに、アスナの指先が俺の鼻に触れた。アスナはその指をちろりと舐めながら言う。

「あんこついてたよ。いったいなに食べたらそんなところにつくの?」
「えっ!? あ、あの……あんまんです、はい」

 たどたどしい俺の言葉に、アスナは柔らかく微笑んだ。
 ──イミテーション・タウンにて。

「わ、わあー。わたし、夜には来たことなかったのよね。イルミネーションがすっごく綺麗だし、星まできらきら輝いてるし、なんだか年中クリスマス気分だね!」

 アスナがわあ、すごい、きゃーと歓声を上げている。
 ──変わったよなぁ。
 アスナは数年前まで、勉強にしか興味を示さず、他人にも自分にも厳しかった。あの頃のアスナなら、こんなに楽しそうにせず、「夜に模擬街へ来るだなんて、時間の浪費だわ」とか言っていたことだろう。
 あの頃のアスナも凛としていてすごく魅力的だったが、今のアスナはその何倍も輝いて見える。

「あ、キリト君見て!」
「え……?」

 アスナの右手が、俺の左腕を引っ張る。彼女の左手は夜空を指差している。夜の帳に包まれた空に、たくさんの星々が輝いていた。

「綺麗だね……」

 満天の星空の下、アスナが感嘆の声をもらす。
 確かにものすごく綺麗な星空だ。けど、更に一際まばゆく輝くものがある。俺の傍らにある、白い肌、栗色の髪。それらはこの世のど
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