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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第17話 「捕虜交換」
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イゼルローンから、あえて自由惑星同盟と呼ぶが、そちらと帝国側に向けて、全回線を使い。通信を送るようにさせろ」
「イゼルローンからですか?」
「そうだ。内容はこうだ」

 ――帝国宰相ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウムの名において、捕虜交換を申し出る。交渉のテーブルにつく気があれば、イゼルローンに向けて返答されたし。
 なお、フェザーンを通じての返答は無用。そちらの弁務官は女をあてがわれ、懐柔されている模様。そのような者とは話にならぬ。
 もしフェザーンを通じて話をしたくば、弁務官の首を替えよ。以上。
 帝国宰相、皇太子ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム。

「うわ〜」
「おいおい、そんなに引くような内容か? 当然の事だと思うが」
「向こうが替えますか?」

 リッテンハイム候が心配そうに言った。
 思わず、うわ〜っと声を出してしまいましたが、わたくしも侯爵と同じ事を思います。

「さぁ〜どうかな? だがな捕虜交換の交渉がうまく行かないのは、お前らのせいだと言い張れるぞ」
「ああ、だから辺境側にも回線を開くのですな」
「しかも理由をそちらの弁務官が懐柔されているからだ。と言い張れますね」
「まあ替えたら替えたで、気に入らない奴が来たら、次も替えろと言えるようになる。向こうの人事権に口を挟んでやるぜ」

 それが目的ですか?
 捕虜交換のついでに、叛徒たちの人事権に介入しようなんて……。
 向こう側も皇太子殿下の目的に気づくでしょうね。だからこそ、替えたくても替えられない。
 そしてこちらは無能者が相手なら、どうにでも出来る。

「だとするとイゼルローンを通じての交渉になりますな」
「それでいい。事務的に終わらせてやろう。そん時は、フェザーンの政治的な地位はガクッと下がるがな。フェザーンは帝国の領土であり、自治権を与えられているに過ぎぬ。与えたものなら、取り上げる事も可能だ」
「建前上は確かにその通りですが、フェザーンが反発したら?」
「討伐する。売られたケンカは買ってやろう。占領してやるぜ」

 え、えぐい。さすが皇太子殿下、やり口がえぐい。
 でも皇太子殿下らしいやり口です。いがいとひどい男なのですよ。
 そのせいでいつもわたくしたち女は、泣かされてばかりです。

「そうだ。そうだー」

 ほらごらんなさい。
 アンネローゼですら、そう言っているではありませんか?

「お渡りがないのは、どういうことだー。待ってる方の身にもなれー」

 ああ、残念ながらお渡りがないのは、当然でしょう。
 なぜなら、そう、なぜならば。わたくしの下へと来てくださるからです。
 そうでございましょう?
 ねえ、皇太子殿下?

「混ぜるな。危険というやつだな」

 なにやら皇太子
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