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東方虚空伝
第一章   [ 胎 動 ]
十三話 帝都防衛戦 後編
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『確かに伝える』

 それだけ言うと庵さんは通信を切ったので僕は不必要になった通信機を手放した。正直声を出すのも億劫だった。
 そして改めて自分の状態を確認してみる。右腕無事、左腕おそらく折れてる、左足動く、右足はさっきの攻撃でどっかにいった、あとは右脇腹に致命傷、笑えるほどの満身創痍。出血が酷い所為か意識も朦朧として危うい。
 あぁでも、もうやる事も無いんだからこのまま寝ちゃおうかな。僕はゆっくりと意識を手放し始めると深く深く眠りに堕ちていく。


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 銀。銀。銀。銀。目の前に銀色の世界が広がっている。
 あぁまたこの夢か。あの時と同じ様に呼ばれる様に歩き出す、目指すのは銀色の中に一箇所だけ開けた場所。そこに前と同じ様に七本の剣が刺さっている。
 もしかしたらこれは僕の心象風景なんだろうか?そう考えると銀一色の草原って僕はどれだけ単調で単純なんだろう。
 そんな風に自嘲していると僕の前に一本の剣が浮かんでいた。取れ、そんな自己主張をしているかの様だ。だけど――――剣を取る気にはならなかった。
 正直もう全部終わったんだからこのまま寝かせてほしい。これ以上あいつと戦う意味なんかないんだから。
 僕はそのまま銀の草原に大の字に寝転び視線を上に向けると面白いことに空まで銀色だった。
 そして眼を閉じる。聞こえてくる音は何もなかった、風の音さえない――――本当の無音の世界。
 そんな無音の世界に不意にノイズが流れる。

『………』

 誰かが何かを言っているようだ。

『………!』

 聞こえない……もっと耳を澄ましてみると今度ははっきり聞こえた。
 そして眼を開けると単調で単純な銀が広がっている。
 あぁやっぱりこれは僕の心象風景で間違いない。だって――――こんなにも僕は単純なのだから。
 勢いをつけ飛び起きるとさっきと変わらず剣が浮いていた。それを躊躇無く手に取るとあの時と同じ様に世界が黒く染まっていく。夢の中で夢に堕ちる感覚。目覚めようとする僕の耳にさっき聞こえた言葉が蘇る。

『お守り代わりに貸してあげる!いい絶対に後で返してよ!』
『なら約束しましょう、無事に月に来るって』

 約束。
 他人からすれば些細な約束、でも僕には十分過ぎる生きる理由になる。先の事は解らない……月に行く方法なんて検討も付かない。だからそんな事は後で考えよう。今は生きる事に全力を使う。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 目覚めると同時に襲ってくる不快感。気分は最悪、体調は最悪、状況も最悪。それでもまだ生きてる。なんとか上体を起こすと、

「まだ動けたか。とどめを刺してやろ
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