第一章 [ 胎 動 ]
七話 不吉の風
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「なんなんだよ!!!」
俺の叫び声が響く。目の前で起こった事が理解できない。理解したくない。
いつも通りの筈だった。いつも通りの哨戒任務のはずだった。どこでなにが間違ったのか?そんなの決まってる。あれが現れたからだ。
長い紅髪の赤い眼をしたナニカ。そいつが俺たちの部隊の前に現れてから「いつも通り」は壊れた。
「なんなんだよ!!!」
馬鹿みたいに繰り返す。答えなど返ってくる訳が無い。俺の周りには人間だったモノが転がっていた。一つや二つじゃない。救援を頼んだ他の部隊の連中も回りに転がっている。
「なんなんだよ!!!」
闇雲に撃っていた銃の弾が尽きた。それにも気付けず引き金を引き続けた。そいつの足元には連隊長だったモノが倒れている。何時の間にか周りには誰もいなかった。
「はっ、はははっは……」
何故か、ドウシテカ、唐突に家族の顔が頭に浮かんだ。そいつが俺を見てまるで虫を払うように腕を振るいそこで俺の意識は、いや人生は途切れた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
待機任務だった第四、第五連隊に緊急招集がかかり、講堂に全隊員が集まったのを確認した後壇上に上がった庵さんが話し出した。
「話を聞いた者もいると思うが第三連隊との連絡が取れなくなった」
講堂にざわめきが広がる。それもそうだろう連隊規模で音信不通になったのだ。
「現在、哨戒任務に出ていた第二連隊が捜索を行っている。そして第一連隊がその応援として向かっている」
庵さんに代わり話を続けたのは第五連隊の連隊長「草薙 紅(くさなぎ くれない)」青いラウンドブロックショートの髪で青い瞳、身長は百七十ほどだ。
「第五連隊はこのまま防衛任務に移る。第四連隊は半数は我々と共に防衛についてもらう」
「俺と一緒に半分は出撃だ。メンバーはこの後告げる。以上だ。各員持ち場に着け」
報告が終わると各自慌しく持ち場に向かう。すると僕の所に庵さんがやって来た。
「虚空お前と美香も出撃メンバーだ。急いで準備しろ」
「了解。…庵さん」
「ん?なんだ?」
「何か嫌な予感がするんだよね…」
僕がそう言うと庵さんは顔をしかめた。
「おいおい止めてくれよ。お前の勘は当たるんだからよ…」
そう言われても困る。でも別に不安にさせたい訳じゃない。
「まあいい、とりあえず早く準備しろ」
そう言い残し庵さんは行ってしまう。本当に何事もなければいいけど。いやもう何事かは起こっているんだろうな。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
第一連隊の後を追
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