第一章 [ 胎 動 ]
三話 『時間』の少女
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っている。美香相手に能力無しって鬼畜か!
「ちょっと待って!ハンデがあり過ぎるでしょ!相手は美香なんだよッ!」
僕はそう叫ぶ。きちんとこちらの声は拾えるようだ。庵さんが応えてきた。
「馬鹿ヤロー!この後も模擬戦があるのにあっちこっち穴だらけにされてたまるか!」
確かに僕の「二つの剣を使う程度の能力」の傲慢と嫉妬じゃ訓練場の中を変形させてしまう。次の人達の事を考えれば一々整地なんてしていられない。
理由は解るがそれでもだ、美香自身もだけど能力が問題だった。朔夜家の「時間を操る程度の能力」は、はっきり言って反則だ。能力無しだなんてただのいじめである。
「テメーの意見なんぞ聞かねー!男だったら体一つで押し倒してみろ!」
「押し倒してどうするんだよ!趣旨が変わってるよ!」
「下衆ね」
「なんで僕にむかって言うんだよ!言ったのは庵さんだろ!」
「漫才はその辺にして、いい加減始めるぞ!構えろ!」
しょうがないので気持ちを切り替える。何を言っても変わらないだろうし、こうなれば意地でも勝つ。
美香との距離は三メートルほど……だけど間合いなんて意味が無い。「時間を操る程度の能力」の前じゃ距離感を気にするだけ無駄な事だから。
意識を集中する、油断なんてしようものなら本当の意味で一瞬でケリが着く。
「では……始め!!」
開始の合図と同時に僕は霊刀を右後方に振り抜く――――と同時に訓練場に金属同士がぶつかり合う甲高い音が響き渡った。
「相変わらずいい勘してるじゃない!」
初撃を止められた美香がそう叫ぶ。『時間停止』――――「時間を操る程度の能力」のもっとも基本的な使い方だ。
他には空間を操作したりもできるらしい。歴代の中には『時間跳躍』なんて事ができた人もいたとかなんとか…。
そういうわけで能力を使われたら絶対に死角を獲られるということだ。(時間停止中に斬ればいいのにって昔聞いたら、時間が止まっている状態だと絶対不干渉になるから意味が無いとかって言ってた)
でもこの能力も絶対無敵という訳じゃない。
「そりゃどうも!」
美香にそう答えると同時に僕は左手に霊弾を生成する。数は四つ、四角錐のような形をとる。僕は誘導系が苦手なため直線の高速弾しか撃てない。その代わり霊気の圧縮率は高いので威力は高い。
ほぼゼロ距離から精製した霊弾を美香に放つ!
「ッ!!」
美香はそれを上に飛んで回避し、そのまま僕から距離を取ろうとする。
「逃がさないよ!!」
すぐさま美香に追撃を掛ける――――「時間を操る程度の能力」の唯一の隙、一度使うと二十秒ほどタイムラグが発生するのだ、何とかもう一度使われる前に勝負を決めたい
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