第二十一章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十一章
「それが何か」
「そうですか。一尉御自身がですか」
「海上自衛隊では幹部自衛官であっても自分でベッドを作りますので」
「幹部であってもですか」
「はい、誰であってもです」
そうなのだと語るのであった。
「自分のことは自分で、というわけです」
「それが海上自衛隊なのですか」
「そういうことです」
「それではですが」
それを聞いて細木に対して言う速水であった。その言葉は。
「私がベッドを」
「それはサービスですので」
「サービスですか」
「そうです」
それだというのである。
「ですからお気遣いなく」
「すいません、それは」
そこまで聞いてあらためて礼を述べる速水だった。
「それではです」
「はい、ではよい休息を」
「わかりました。それでは」
こうして細木と別れるとであった。部屋の鍵を閉めてそのうえで先程細木に教えられたスーパー銭湯に向かいそこで汗を落とした。ついでに言えば危険であるが酒も抜くことになった。そのうえでゆっくりと一日の各地を飛んだ疲れを癒すのであった。
そして次の日である。朝早く起きた。五時である。
とりあえず時間があるので外に出てあちこちを歩いた。歩きながらこれからのことを考える。海辺のところを一人歩いているのであった。
右手に海が見える。朝の海は静かで波の音も爽やかだ。小舟が集めて停泊させられている。学校の教育で使うと思われる多くの小舟はどれも見事なものである。
そうしたボートを多く見ながらである。速水はこれからのことを考えていた。言うまでもなく今彼が依頼されているその事件のことである。
今事件はであった。全く動いていなかった。だが二つの事件はわかった。
「捻られて心臓がですか」
この二つの事件についてまず考えた。
「整合性はありませんね」
それは見当たらなかった。全くである。
「これはどういうことか。一体」
あと三つの事件は今日のうちに調べるつもりだった。まずは大湊、そして舞鶴に佐世保である。その三つの場所を移って調べる予定である。
そんなことを考えているうちに足は自然と幹部候補生学校の赤煉瓦のとこに来た。その頃にはもう六時になっていた。そう、六時になるとである。
「総員起こし、五分前」
「おや」
速水はこの放送を聞いてまずは微笑んだ。
「そうですか。五分前ですか」
自衛隊の起床前には必ずかかる放送である。皆これでまずは目が覚める。
そうしてである。五分はすぐに経った。すると。
ラッパの音が高らかに鳴りそのうえで総員起こしの言葉が入りであり。候補生学校の舎の方から物凄い気配が感じられてきたのであった。
「起きましたね」
それがわかった。そうして。
「総員待て」
「待て?」
速水は今の放送にふと声
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ