第二十六話 青天の霹靂って知ってるか
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は無く、腹を減らした辺境領民が我々を歓迎するでしょう。食料を求めてです。占領地の住民は現状で約七百万人。進めば進む程この数字は増えます。そして補給計画にも影響を与えるでしょう」
彼方此方で呻き声が聞こえた。現時点でも同盟軍は侵攻している、占領地は広がり続け数字は増え続けている。
「住民を無視して進むと言うのは出来ませんか?」
「それは出来ない、我々は帝国の圧政から住民を救う解放軍なのだ。無視すればそれを否定する事になる」
ある参謀とオスマン中将の会話にまた呻き声が上がった。何処からか“卑怯な”との声が上がる。
確かに卑怯だと言いたくなる作戦だ。民間人を利用して同盟軍の補給を破綻させようとしている。だがこちらの弱みを的確に突いてきているのも事実だ。おそらくはヴァレンシュタイン総参謀長の作戦だろう。彼はこちらの補給が破綻するのをじっと待っている。そして反撃する時をこの宇宙のどこかからじっと窺っている……。
「キャゼルヌ少将、貴官の意見を聞きたい。後方主任参謀として、この遠征の補給計画の責任者として、如何思うかね?」
シトレ元帥も顔色が良くない、その元帥に促されキャゼルヌ少将が起立した。こちらも顔色は良くない。
「事態は深刻と言って良いでしょう。占領地からは住民を飢餓状態から恒久的に救うには百八十日分の食料が必要だと言ってきております。さらに食用植物の種子百種、人造蛋白製造プラント四、水耕プラント四……」
彼方此方で溜息、呻き声が聞こえた。
「七百万人に百八十日分の食料を与えるだけでも二百万トン近い穀物を必要とする事になります。それを運ぶ輸送船も要る……」
「……」
「小官は三千万将兵の補給計画については自信を持っておりますが占領地に対する食料の供給については到底計画を立てる事も責任を持つことも出来ません」
「……」
「何故なら占領地が広がるにつれて養う住民が増えるからです。それにつれて食料だけでなく食用植物の種子、人造蛋白製造プラント、水耕プラント、輸送船の規模が増えます。キリが有りません。もし、それでもやれと言うのであれば辺境星域住民二億人を対象とした食料の供給計画を作るしかありません。その場合食料だけでも四千万トンを超えます、それを運ぶのに二十万トン級の輸送船が二百隻は必要になる」
また呻き声が上がった。今度は“馬鹿な”という声も聞こえる。
「その通りです、馬鹿げています、現実的に不可能と言って良い。しかしこのまま侵攻作戦を続ければその不可能に直面するのです」
「……」
「補給計画の破綻は敗戦に直結します。小官はこれ以上の侵攻は不可能と判断し撤退を進言します」
言い終わってキャゼルヌ少将が着席したが誰も反論しない、本来なら作戦参謀辺りが反論してもおかしくないが皆押し黙っている。
「キャゼ
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