一周年記念コラボ
Cross story The end of world...
―Last Battle ―亡国の王女2
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った。そこへ―――
「ん?……ユキ、ただいま」
「……ゲツガ君?」
「おう、って……おわっ!?」
ドン、とゲツガが押し倒されるぐらいの勢いで飛び付いて来たユキが目を潤ませながらベシベシと頭を叩いてくる。
「お、おい。ユキ、やめてくれ!?地味に痛いぞ!?」
「し、心配したんだから!!何なのよ、このかが……あれ?」
「どうし……消えた、のか?」
さっきまであったはずの大きな鏡は跡形もなく消えていた。混乱するユキを余所にゲツガは心の中でさっき4人でした約束をもう一度呟やいた。
「ぐすん……それで、何処行ってたの?」
「え?」
「分かるんだから……戦って、来たんでしょ?」
「…………すごいな、ユキは。……話すよ、まずは帰ろう」
「うん……」
先に立ち上がってユキに手を貸し、最愛の彼女の柔らかい手を握りながら残りの階段を上って行った。
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暖かな光が射し込む静かな階段。
ちょうど1年ほど前になるのだろうか。彼はその一番上にあった大きな鏡から『未来』へ跳んだ。
「……ふぅ」
弱った体ではここまで来るのも一苦労。最近ようやく動き始めた足や右腕、大穴が空いていたらしい脇腹に鈍痛が甦る。
「……あっちでも生身で大怪我したはずなんだがなぁ」
具体的には鎖で殴られたり、魔法で10メートル近く吹っ飛ばされた挙げ句壁にめり込んだり……
「よっこらせ……っと」
階段の一番上に腰を下ろし(肋に激痛)、ボロボロの体を労る。昼休みの喧騒は遥か遠くから聞こえ、病み上がりの彼が1人で居ると頬を可愛く膨らませて怒る彼女もこの場所は知らな―――
「み〜つ〜け〜た〜、螢!!」
「うぉ!?」
弁当箱が入っているのであろう可愛らしい手提げを持つ手はわなわなと震え、怒りのあまり辺りの景色が歪んでいる(これはイメージ)。
「ゆ、木綿季。どうしてここを!?」
逃走経路を頭で構築するための時間稼ぎにその怒れる少女に訊ねる。すると、木綿季は何故か頬を赤く染め、
「……螢が何処に居るかなんて、ここで分かるもん」
ポン、と心臓辺りを押さえた。無論それが意味するのは心臓ではなく、心だと言いたいのだろう。
その愛らしい様子に脳内で繰っていた逃走経路はポシャ、と消えて全身の痛みにも関わらず階段を一気に飛び降りて木綿季の隣に着地した。
「んぐ!!……っと……木綿季」
「!?ちょ、螢!!激しい運動しちゃダメって雪螺先生が……わぁっ!?」
ぎゅうぅぅぅ、とその華奢な体を抱き締める。腕の中の真っ赤になりながらもぎこちなく腰に
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