暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
34話:灼熱の剛拳(後編)
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に銀の棒が怪人の手に収められる。
そこから一気に飛び出し、得物を両手で振り下ろしてくる。士は両手で掴み、横へずらす。

「くっ…!」
「その程度で…!」

だが怪人も両手に赤い炎のような装飾を浮べ、棒を一気に振り上げる。力が強く、掴んでいた両手も離れてしまう。

「はぁああ!!」

そして幾度となく繰り出される棒術。体に何度も当たり、火花が散る。
不意に突き立てられた一撃で、士は砂漠に転がる。

「ぐっ…」
「はぁっ!」

すぐに立ち上がるが、怪人の両手に赤だけでなく緑の風のような装飾が浮かび上がる。棒の両端に炎を灯し、地面を削りながら振り上げる。すると棒の炎が砂を巻き上げながら風のように放たれる。

「っ、のぁああ!!」

士はそれを見て、思いっきり横へ跳ぶ。怪人の攻撃はそのまま通り過ぎ、少し小高い砂山に衝突し、爆発する。

「おいおい、そんなこともできんのかよ…!」
「もう一度…!」
「っ!?」

今度は先程放ったのとは逆に灯っている炎を放つ。それも横に跳んで避ける。
背後にあった砂山も、二撃目が当たって完全に跡形も無くなった。

「どうです?すごい威力でしょう?」
「あぁ、驚きすぎて頬が引きずったまんまだ」

そう言いながらちゃんと立ち上がり、ライドブッカーから新しくカードを引き抜く。

「今度は…どうでますか?」

怪人は再び両端に炎を灯し、構える。

(負けるか…!)
〈 FORM RIDE・AGITO FLAME 〉

そう思いながら士はカードをディケイドライバーへ。
アギトとなっていた士の右腕は赤く染まって大きくなり、胸も赤く染まる。アギトの超越感覚の赤と呼ばれる姿、“フレイムフォーム”に変わる。そして右手にはフレイムセイバーを掴む。

「はぁあああ!」
「効くかぁぁぁ!」

怪人は得物を振り回し、今度は連続で炎を放つ。それらを新たに身につけた超越感覚と右腕のパワーで切り裂いていく。
フレイムセイバーを斬り上げ、斬り下げ、また斬り上げ。次々と迫る炎を切り裂く。

「さすが…!」
「―――ここだ!」

途中斬り下げたところで、フレイムセイバーに魔力を注ぐ。その魔力は剣を通して炎へと変わり、怪人と同じように炎を放つ。その前に放たれていた怪人の炎と衝突し、爆発する。

そしてその爆発で起きた爆煙で、両者の姿が見えなくなる。
怪人は得物を振るい爆煙を払う。だがそれでも怪人の目からは士は見えない。

「―――っ!?」

刹那、怪人の懐に赤いアギトの姿が映る。一旦得物を振るった後で、得物で防ぐ事ができない。
逆に既に構えていた士は、左腰から居合のように抜き放ち斬り上げ、今度は左上から斜めに斬り下げ、今度は横に斬り払う。そして振り返る勢い
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