A’s編
油断大敵だよー!
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目を覚まして真っ先に目に入ったのは、真っ白な天井だった。
一瞬病院か?とも思ったが、病院独特の匂いもない。
ベッドに寝転んでいたオレは起き上がり、辺りを見回す。と、その部屋はあまり広くなく、本棚や勉強机があることから病院という可能性はなくなり、どちらかというと誰かの個室であるとわかる。
「ここ・・・は?」
誰に言うでもなく、ただ呟く。
とりあえずオレはベッドを降りる。
すると、ガチャと、部屋のドアが開く音が聞こえた。
「おはよう、兄さん。起きてる?」
そう言って入ってきたのは、肩より少し長い黒い髪を、真っ白なリボンで一つに結んでいる少女だった。
「だ、だれだ?」
「兄さん、いくら寝ぼけてたとしても、妹の顔を忘れるってひどいよー?もう、わたしは三島大吾の妹、三島紗羅でしょ?明日も同じこと言ったら怒るからねっ」
「あ、ああ・・・そう、だな。ちょっと寝ぼけてたみたいだ。悪かったな、紗羅」
オレはプンスカと怒る紗羅に謝り、改めて紗羅のことを思い出す。
オレ、三島大吾の義理の妹で、同い年の高校二年生。オレの母親の再婚相手の一人娘。
うん、しっかりと覚えている。
「じゃ、わたしはこれからお母さんのお手伝いしてくるから。はやくリビングにきてね」
「ああ」
そう言って紗羅は部屋を出ていった。
オレはどこかおかしな感じが残っていたが気にせず、寝巻きから学校の征服に着替えた。
いつも通っている学校への通学路を、紗羅と並んで歩く。
それはやはりいつも通りなのに、どこか懐かしいような感覚になってしまう。
「どうしたんだろ、オレ・・・」
そう、小さく呟く。
「? どうかした、にいさ・・・きゃぁ!?」
紗羅がオレの呟きを聞いたのか、話しかけようとしたとき、紗羅が前のめりに倒れる。
「な、どうした!?」
「むっふっふー♪紗羅ちゃん、油断大敵だよー!そして大吾くん、愛してるぞ♪」
「ちょっと、美桜ちゃん!?なに当たり前みたいに兄さんに告白?してるの!」
紗羅はすぐに体制を立て直し、突進してきた相手、南條美桜と言う。
南條はオレたちのクラスメートで、紗羅の親友でもあった。
「ちっちっち、これは告白じゃないぞ、紗羅ちゃん!プ・ロ・ポ・ー・ズ♪」
「なおタチが悪いわ!このバカ美桜が!」
スパーン!と、南條の頭からいい音が鳴った。
「ちょっと、乙女の頭になんていう攻撃加えてるのよ、東!」
「は?美桜が乙女?ありえねーだろ。せいぜい乙女なのはおばさんたちがつけてくれた名前だけ」
そう言って南條と言い争うのは、クラスは違う、同級生。南條の幼馴染でもあり、オレの親友でもある笠井東だった。
「
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