暁 〜小説投稿サイト〜
ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
七十一話:嫌いじゃない
[3/4]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
」
片方の意味でなら、違うけど。
もう片方なら、そう。
一緒に旅が出来ない相手を、してくれない相手を、どうやっても私は選べない。
「……僕が。嫌い?」
そんなわけ無いって、わかってるくせに。
正直に答えたら期待を持たせるようになってしまうこの聞き方は、ずるい。
「……君が旅を続けることを、パパスさんは望んでない。君のお母さんだって、きっと」
そんなこと、わかってる。
だけど私が、そうしたいから。
「……ごめんなさい」
どうして私は、謝ってるんだろう。
したいと思うことを、しようとしてるだけなのに。
それは、やっぱり悪いことなんだろうか。
私の大事な人たちが、誰もそれを望んでくれないなら。
応援、してもらえないなら。
アランさんが、困ったように微笑みます。
「そんな顔をしないでくれよ。苛めて、泣かせたいわけじゃないんだ」
私は、どんな顔をしてるんだろう。
「わかったよ。僕が悪かった。もう、いいから」
「……ごめんなさい」
この人は、悪くない。
心配して、想ってくれただけだ。
だけど、それなのに。
すごく、悲しい。
「……諦めるって、決めたところなのに。そんな顔をされると、抱き締めたくなるな」
どんな顔か、わからないけど。
こんな時こそ、演技力を発揮して。
笑えたら、いいのに。
「ドーラちゃん。おにいちゃんで、いいから。最後に、抱き締めても、いいかな?」
どう答えたらいいんだろう。
この人のことは、嫌いじゃない。
状況が違ったら、違う答えを返してたかもしれない。
でも抱き締めるって、それは
迷って、答えることも動くこともできずにいるうちに、アランさんの手がゆっくりと、私が避けられる程度にゆっくりと、でも確固とした意志を持って、伸びてきて。
動けない。
……けど。
…………嫌だ!
アランさんの手が私に届く寸前に、後ろから手を掴まれて強く引き寄せられます。
「……ヘンリーくん」
「ここまでは、待ったが。これ以上は、黙って見てる気は無い」
私の手を引いて背後に隠して、ヘンリーが私とアランさんの間に、立ってました。
「……そうだね。それは、僕の役目じゃ無かった。僕は、もう戻るよ。ドーラちゃん、それじゃ。本当にごめんね」
悲しげに笑って、アランさんが宿に戻っていきます。
いつの間にか息を詰めていたことに気付いて、大きく吐き出して。
目の前にある広い背中に、呼びかけます。
「……ヘンリー」
「謝るなよ。お前は、悪くない」
なんのことを、言ってるんだろう。
また面倒をかけて、謝ろうとは思ったけど。
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ