崑崙の章
第22話 「みんなぁ、ただいまっ!」
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も騙されたか? それならば私に言うがいい。この愛槍『龍牙』で、その男の頭蓋を貫いてみせよう」
そう言って、自慢の槍をぶるんっと――危なっ!?
い、今、俺の頭のあった部分を突こうとした!?
「ちっ……」
「ちょ、せ、星っ!? なにす……」
「さてはて、困ったものだ! そんな愛紗は見ておられぬな。いつもの毅然とした関雲長は何処にいったのだ?」
「あ、え……と、せ、星? わ、私は別に……」
………………えーと。
どうして白蓮のところにいた星が? とか。
いつからこの漢中にいたの? とか。
色々聞きたいことがあるのだが……そんな状況ではないらしい。
なんというか、殺気が……
「ふむ……なあ、愛紗よ。今気づいたのだが、お主の横に大きな虫がいるようだな」
「は?」
「む、虫!? お、俺っ!?」
「何やら黒い黒い虫がいるようだ……これはいかんな。愛紗が汚れてしまう。どれ……私が退治してやろう」
「ちょっ!?」
そう言うやいなや、いきなり殺気全開で槍を振るいだす星。
い、いかん、マジだ!?
「ちょっと待て、星っ! 話せば分かる!」
「虫の鳴き声がうるさいなぁ!」
ゴウッ、と槍の先端が風切り音とともに俺に迫る。
このままだと愛紗も巻き込まれるので、彼女を腕に抱えて後ろへ飛び退った。
「あ、あぶなっ!?」
「おやおや、虫と一緒に飛んではダメではないか、愛紗よ……傍にいたら巻き込んでしまうぞ?」
「せ、星!? いったいなにをするのだ! ご主人様だぞ!?」
「はあ? 何を言っておるのだ、愛紗よ。そこにいるのは虫であろう?」
ちょっ……ま、マジで虫扱いですか!?
「ま、まずい! 逃げるぞ、愛紗っ!」
「ちょ、ご主人様っ!?」
「おのれ! 逃がさんぞ、黒い虫ぃぃっ!」
な、なんでだーっ!?
―― 張飛 side ――
「きょ〜うも、たっのしい、みまわりだぁ〜! 肉まん、あんまん、なっに食べよ〜♪」
鈴々は今日も見回りをしているのだ。
最近は警官のおっちゃんたちのお陰で、悪い人も少なくて楽なのだ。
だから鈴々は、見回りついでにおいしい屋台を見つけるのが密かな楽しみなのだ。
「きょ〜うは、らーめん、食べよかな〜♪ 明日は、な〜にを食べよか……」
鈴々が大通りに出ようとすると……
「だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
「むぁてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
黒い風と白い風が鈴々を追い抜いていったのだ……
って、今のは……
「お、お兄ちゃん!?」
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