崑崙の章
第22話 「みんなぁ、ただいまっ!」
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行かないと!
* * * * *
「ふう……あ、愛紗、こっちでいいの?」
「………………(コクン)」
一応、街の中心に内城があるのはわかっているけど、とりあえず愛紗に場所を聞いてみる。
あいかわらず愛紗は、顔を真っ赤にしたまま俯きながらも、俺の裾を握って離さない。
(な、なんか……一年前とは、凄いギャップが有るんですけど!?)
ものすごく乙女……あ、いや。
元々可愛い女の子ではあったけど。
なんというか、威厳とか厳しさとかが前面に出ていたはずなのに。
今の愛紗は、もう……なんというか、なんといえばいいか……
(こ、こういうのをギャップ萌えというのでしょうかね、一刀くんよう)
正直、頭がテンパっており、こういうのが得意そうな一刀を思い浮かべてみる……
………………
だめだ。
俺の記憶の中じゃ、鈍感野郎のまま意も介さずバカなことを言い出す姿しか思い浮かばん。
まいったな……
「え、ええと……あ、愛紗?」
「………………」
「あ、あのな? 帰ってくるのが遅くなったのは……悪かった」
「………………」
「た、ただ、不可抗力というか……ちょっと色々あったんだよ。俺も、その気がついたら三百日も経っていたというか……いや、その」
「………………」
……いかん。
これじゃあ、浮気がバレてしばらく無断で別居していたような言い訳じゃねえか。
ああもう、俺ってばこういうの、マジ苦手なんだよぉぉぉぉっ!
「ええと……その、く、詳しくは皆の前でちゃんと話すよ。だからその……」
まあ、なんというか……お、怒ってるんじゃない、よね?
いや、怒っていたら、普通は殴るとか蹴るとかしてくるだろうし。
だ、だから……俺が自惚れているんじゃないなら、たぶん、その。
「………………」
「………………」
ごくっ……こ、ここは勇気を出して!
「……心配かけたね、愛紗。待たせて――」
「おや、珍しい」
「悪かっ――は?」
唐突に横から声がする。
そこに居たのは……
「さてはて、珍しいものを見たものだ……赤面する愛紗が見られるとは」
「……なっ!?」
「あ……せ、星っ!」
白い衣に、先端が赤い槍を持つ女性。
そこに居たのは、趙雲――星だった。
「おお、星じゃないか。ひさしぶ――」
「おやおや……どうしたのだ、愛紗? そんなに赤い顔で。まるで初な乙女のような表情ではないか」
「!? わ、わた、私は……」
………………へ?
ええと……もしかして、無視された?
「泣く子も黙る関雲長が、こうまで乙女の顔になるとは……さてはて、悪い男にで
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