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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第22話 「みんなぁ、ただいまっ!」
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意だけでは私達の仕事は成り立ちません。為政者としての判断も必要なんです。じゃがいもはすばらしい食料です。ですが、これをただで広めたら……私達の、梁州の特権がなくなります」

 朱里ちゃん……
 あえて政治の『汚い部分』も教えるんだね。

「これの有用性を発見した私達が、それを特産とすることで『梁州の劉玄徳様が、皆のためにこの作物を広めた』という付加価値をつける。そのことで初めて梁州に『益』が生じます。その付加価値で他国に恩を売ったり、梁州の商人に専売を許す反面、その権利の対価を支払わせたり……国は善行だけでは運営できません。私達文官の任は、いかに効率よく税を集め、利を守り、国を富ませるか、です」
「は、はい!」
「家を建てるのも、道を整備するのも、官吏に俸給を支給するのも、それら『税』を取り立てるからこそできることです。善意だけではダメなんです。貴方も文官としてこれから立身するのであれば、まずはそこを学んでください」
「は……はいっ!」
「私達は武将の方々と違って、利で動かなければいけない立場です。桃香様が何かを求めた時、しっかりそれを提供できるか。武将の方々が兵を求めた時、ちゃんと指揮するべき兵をあてがえるか。それこそが仕事なんです」
「えっと、だから一見すると汚く見えちゃうような……裏方の仕事なんです。ひどい言い方をしちゃえば……綺麗事は桃香様や武将の方が喧伝すればいいんです。その後始末と、諸々の厄介事を片付けるのが、文官や官僚の仕事……です」
「………………」

 憲和くんは、自分の理想と実際の仕事に落差を感じているのかもしれません。
 青い顔で、顔をうつむかせています。

 でも……これは事実であり、真実なのですから。
 私達の仕事は……基本的に汚れ仕事です。

『俺の世界にいた、政治家ってやつはとかく汚く見える。でも、綺麗事じゃ世の中回らない。清濁合わせてそれでも自身を綺麗に見せなきゃならない。名声も罵倒もその身にかぶる存在が……桃香たち太守や、愛紗たち武将がいる今の世のほうが、ある意味救いがあるかもな』

 盾二様はそう言って寂しく笑っていました。
 天の世界にいる政治家という人は、文官の仕事をしつつ、太守のように信頼を集める立場なのだとか。

 つまり、裏での取引や小を捨てて大を取ることを、自分の名声と引き換えにしなければならないということ。
 私達は、名声も罵倒も太守である桃香様に預けて、人の噂を気にせず政務に携わることができる。
 それがどんなにありがたいことか……

 私には……人の非難を浴びるであろう事を、人の目を気にしながら行うことなんてできそうにありません。
 だって、宰相の名前が出る仕事だって、朱里ちゃんだけに名前を出すことをお願いしちゃうぐらいです。

 そういう意味
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