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とある科学の論理回路
天目反射
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 先ほどから無双していた、俺の親友である戦場栞菜(せんじょうかんな)が叫ぶ。そして、周りを一切確認せずに俺に駆け寄ってきた。

「おい、アンタ危ない!」

 ウニ頭の叫びも虚しく、背後から攻撃が放たれた。

「死ねやコラァ!!!」

 ドゴォ!!!

 鉄パイプ。不良の代名詞のようなその武器を振り下ろしたその男は、栞菜の強烈な蹴りによって吹き飛んだ。・・・どう考えても不可能な体勢から、コイツは蹴りを繰り出したのだ。

「おい、大丈夫か!?」

 倒れた俺を抱き起こしたコイツは、ある筋では”白兵戦最強”という二つ名を付けられている(勿論、超能力者(レベル5)の化物共は除く)。

 大能力者(レベル4)。能力名は”天目反射(サードアイ)”。無意識に危険を察知し、咄嗟に最適な回避行動を取る能力だ。

 起きていようが眠っていようが関係ない。立っていようが座っていようが大差ない。前後左右三百六十度どこから放たれようが、例え空間転移での攻撃でさえ、確実に回避してのける能力。それが”天目反射(サードアイ)”だ。

 因みに、音速の三倍くらいまでなら余裕で、それ以上の速度だと運が絡む。純粋に、身体能力がついて行けない可能性があるのだ。

 自分が受けたくない攻撃や悪意。それらを全て避けきるこの能力は、近接戦において無類の強さを発揮する。
 自分が攻撃している最中に、防御や回避に意識を割く必要がなくなるからだ。カウンターを合わせられようと、自動的に身体が回避するのだから。

 そんな女が。この、230万人の内、超能力者(レベル5)8人を抜かした中で白兵戦最強の異名を持つこの女が。

 ブチギレた。

「お前ら、新羅に何してくれてんだコラァ!!!?」

 暴走。その言葉が正しいだろう。

 今までは、重傷を負わせないように少しだけ手加減をしていたが、自重を止めたのだ。戦場を嵐のように駆け巡る栞菜。電撃を避け、炎を避け、風も水も避ける。コンクリ、鉄パイプ、ナイフに拳と蹴り。その全てを避け、カウンターを入れ、地面に引きずり倒して蹴りを入れる。敵の武器を奪い、返り血さえも能力で回避する彼女の姿は、美しくも恐ろしかった。・・・こりゃ、もう一つの二つ名、”戦女神”も妥当な名前だ。

「・・・・・・上条さんは、空気になってしまいました。・・・でも、あんな戦いに割って入ったら足でまといか・・・?」

 そんな戦場をポツンと見つめる、俺とウニ頭。俺は、戦場を見ながらも、彼の右手に視点を合わせる。

(・・・見えない。やっぱり見えない)

 彼の右手首から先。その部分だけ、0と1が全く見えないのだ。

 この世の全ての物質にも、0と1が見える。今まで、見えなかった物などただ一つとして存在し
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