第二十五話 尻を蹴飛ばしてやろう
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「無理に戦わされては堪らん。それなら回廊付近で戦った方がましだ」
「だとすると早急に発たなければなるまい、忙しいな」
皆が口々に話しだした。いかんな、何時の間にか回廊付近での戦いを選択している。
「時間の問題、口出しの問題、その二点を解決できれば反乱軍を引き摺り込んだ上で叩いた方が効果的だと思いますが、どうですか?」
俺が問い掛けると皆が顔を見合わせた。皆を代表する形でメルカッツが答えた。
「それはそうですが、良い手段が有りますか?」
「まあ試してみたい事は有ります。多分上手く行くでしょう」
多分、大丈夫だよな。俺の答えに皆が納得したように頷いた。
「ではケスラー、ケンプの両名をオーディンに戻しましょう」
「いや、それには及びません、クレメンツ提督」
会議室がまたざわめいた。
「あの二人には少々やってもらいたい事が有ります。時間がかかりますからオーディンに戻る余裕は無い、シャンタウ星域辺りで合流する事になるでしょう。早急に出撃準備を整えてください」
全員が頷いた、これで良し。
同盟軍は原作通り帝国領侵攻作戦を実施する事にした。詳細は分からないが動員兵力も原作とほぼ同様だろう。やはり同盟市民は戦争を望んだという事だ。帝国との和平等というのは同盟市民には受け入れられない。百五十年も戦っているんだ、或る意味当たり前だな。
問題はロボスとフォークの馬鹿が居ない事だ。あの二人がいれば何も考えずに占領地を拡大してくれる、打ち破るのも難しくは無い。だが今回はそうは行かない、ヤンとビュコックが遠征軍を率いて来るのだ。あの二人は名将だ、帝国領侵攻が危険な事は十分過ぎるほど分かっているだろう。
おそらく無闇に占領地を広げる様な事はしない筈だ。ゆっくりじっくり足元を固めつつ進んでくるだろう。こちらに引き摺り込まれるよりもこちらを引き摺り出そうとするはずだ。そして艦隊決戦を挑む。皆が危惧していた展開に持ち込もうとするだろう。
焦土作戦を展開しても辺境の人間が苦しむだけで終わる可能性も有る、それでは意味が無い。工夫が居るな、ビュコックとヤンに野放図に占領地を拡大させる工夫が……。
四日後、新無憂宮にある国務尚書の執務室で俺はリヒテンラーデ侯、エーレンベルク軍務尚書、シュタインホフ統帥本部総長に迎撃作戦の内容を説明した。グリンメルスハウゼン司令長官には既に説明済みだ。特に何の問題も無かった、“分かった”の一言だったな。本当に分かったのかどうか……。
「反乱軍を帝国領奥深くに引き摺り込むか……」
リヒテンラーデ侯が小首を傾げた。不満かな、帝国領に入れるのは。
「反乱軍は三千万を超える大軍です。消費する補給物資は膨大なものになるでしょう。帝国領奥深くに誘引し補給の負担を増加させる、その上で補給線を断ち反乱軍を撃破す
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