第十四章
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第十四章
「学校に」
「学校といいますとまさか」
「あっ、御存知なのですか?」
「第一術科学校でしょうか」
彼が話に出した学校はこれであった。
「それは」
「はい、その第一術科学校です」
横須賀で案内してくれた原田と同じことを述べたのである。
「そこで教育を受けていたこともあります」
「成程、そうだったのですか」
「残念ですが学校でも評判の悪い学生でした」
また三原の顔が曇ってしまった。
「何かにつけ年下をいじめたりしていまして」
「そこでもだったのですか」
「同期や分隊下士官からの評判は最悪でした」
そうであったというのである。
「そうした人物でした」
「左様ですか」
「それだけです」
三原はここで話を止めた。
「後は彼の起こした問題の数々についてお教えしましょうか」
「はい、よければ」
それも貰うというのだった。犠牲者について細かく知っておくことはどういった捜査でも基本である。彼はこのことを忠実に守っているのである。
「御願いします」
「それでは後でお渡ししますので」
「それは何時になるでしょうか」
「明日で宜しいでしょうか」
明日だというのである。
「お渡しするのは」
「また随分と早いですね」
「こちらの捜査の時に警務隊が既にまとめていまして」
「だからなのですか」
「はい。ですから明日にでもすぐにお渡しできます」
そうだというのである。
「それで如何でしょうか」
「わかりました。それではです」
速水は快く頷いた。これでこのことの話はついた。それで三原と別れたがすぐに一旦横須賀に戻って横須賀での犠牲者の情報を提供してもらうように話した。それからすぐに江田島に戻った。江田島に再び来て最初の感想はというとであった。
「一日にこれだけ運命の輪を使うとは」
このことを言うのであった。
「はじめての経験ですが。中々疲れますね」
これだけであった。そしてまた江田島の幹部候補生学校に入った。そしてその中にある第一術科学校に足を向けるのであった。
そこに行きその二人の犠牲者の話を何処となく聞く。するとこうした返事が返って来た。
「あの二人はです」
「はい」
「期もマークも違いますが」
マークというのは職種のことである。これも自衛隊の言葉である。
「今だに学校の中でも有名です」
「有名なのですか」
「悪い意味においてです」
話すその下士官は見れば一曹の階級を付けている。貝殻を思わせるマークに二本の中央に折れたラインが付いている。それを制服の左腕に付けているのである。
「とにかく素行が悪くてです」
「素行がですか」
「遊びであちこちの施設に落書きをしたりもしました」
「そうなのですか」
「しかも学校の中だけではなく」
悪事は外
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