第四十三話 暴走開始 前編
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恨んでいるのよ」
その言葉に、全員が唖然とする。
「そんな! 遼ちゃんは何にも悪いことなんてしていないのに!」
誰かがそう言う。
それは、この場にいる全員の共通の意見でもあった。
「そうよ、けれどこれがサバイバーズ・ギルトの特徴なの、生き残ってしまったこと自体に罪を感じているの、それに、彼女のレアスキルもそれに関係しているわ」
今度は、昨日の戦闘映像と、温泉街での戦闘が映し出される。
「一つ目は凍結、二つ目はは無効化、とでも言うのかしら、特定の条件が当てはまった相手のレアスキルを無力化してしまうようね」
これには刃のみ心当たりがあった。
人たちが持つ特典はこちらではレアスキル扱いになるが、遼はそれらを全て無力化してしまうようだ。
「ただし、それはコントロールができず、発動していると遼自身も魔法が使えないみたいね、まあ、重要なのは三つ目なのだけどね」
そう言って、温泉街の方の映像を拡大する。
それは今まさにレイが遼を貫こうとしている場面だった。
「この時、遼は完全にレイを把握できない状況にあったにもかかわらず、彼の一撃を防ぐとこができたわ、なぜでしょうね?」
そう皆に尋ねる。
すると、フェイトがゆっくりと手を挙げて答える。
「えっと、あらかじめこうなることを知っていたから、ですか?」
それはあまりにも非現実的な答えだった。
レイがあの場にいたのを知るのはレイだけであったし、彼も細心の注意を払って遼に近づいたのを、あらかじめ知ることなどは、普通はできはしない。
けれど、遼はそれを知っていた。
「そうよ、彼女とその周囲の人物に命の危険が及んだ時のみ発動する三つ目のレアスキル、『危険予知』、彼女はこれで両親の死を予見してしまった、けれど幼い遼が両親にいくら語りかけても信じてはもらえず、彼らは死んでしまったようね」
それは当たり前のこと。
小さい子供の言うことを間に受ける人間が全人類の中でどれだけいるだろう。
考えるまでもなく、そんな奇人は少ないに決まっている。
「だから彼女は自分を責めた、分かっていたはずのことを防げなかった自分を呪ったのね」
リンディがそう呟く。
「そう、だからこそ今度は誰も失わないように、悲しませないように力を求めたの」
『日常というものはふとしたきっかけで容易に崩れ去る、何かが起こってからでは遅いのじゃよ』
『私は平和に暮らしたいの』
なのは、フェイトの二人の脳裏に、かつて彼女から聞いた言葉が蘇る。
思い返せばそうだった。
彼女はいつも、何かを失うことを恐れていた。
(だからこそ、盲信的にジュエルシードを集め、今
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