大会〜準決勝 前編〜
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それでもその一瞬で映った数値をみれば、情報としては十分だ。
敵は時間にして、十分ほどで合流する地点に、固まって動いている。
中央にワイドボーンを配し、左翼をローバイクとコーネリアが、右翼をテイスティアとマクワイルドで固めている。
陣形は横陣と呼ばれる最も基本的な陣形だ。
防御にも攻撃にも様々な陣形に、即座に対応することができる。
相手はどう出てくるだろうか。
筺体の中で、一人アッテンボローは楽しそうに笑った。
+ + +
相手が索敵艦を発見した事で、こちらが近くにいる事は気づかれた。
相手はこちらの位置こそわからないが、いずれは索敵艦によって発見される。
コンソールを打つ手に力がこもった。
相手に気づかれないように、逃げなければならない。
全艦隊に反転の命令を入力し、ゆっくりと、しかし急いでるように見せかけながら後退する。
すぐに敵の索敵艦によって、発見された。
こちらの巡航艦がレーザー砲によって撃退する。
逃げる――しかし、完全に逃げきることはしない。
その絶妙な距離を取ることが重要だ。
「―――ッ」
声にならない叫びが、アッテンボローから聞こえた。
即座に映る艦影は、約五百隻ほどの少数の艦艇だ。
だが、その全てが高速艦で揃えられており、数が少数であるため周囲の歩調をそろえやすいため、周りの速度に合わせることもない。
いや、最初は千隻ほどだったのだろうが、周囲と速度を合わせなかったため一部が突出してこちらに突っ込んできている。
その後方からは遅れて、ばらばらと残る高速艦が追尾していた。
正面から戦えば、二千隻ものアッテンボローの艦隊だ。
五百隻程度の敵はシミュレーター時間で五分ほどで壊滅させることも出来る。
だが、それをすれば、こちらは残る敵に囲まれて、殲滅される。
「逃がさないってわけか」
乾いた唇を舐めて、アッテンボローはやはり読まれていたと考える。
突出したこちらを撃破すれば、数的優位は向こうに生まれる。
しかし、このダスティ・アッテンボローを舐めてもらっては困る。
即座にコンソールに命令を伝達すると、一部艦艇が反転を行い敵に接触する。
画面に撃破と損害の情報が流れるのをみながら、時間を稼ぎ、残る艦隊を反転させた。
敵の高速艦に対して、後退しながら攻撃を繰り返す。
無理に突進しようとした敵高速艦は、冷静に撃ちとっていく。
だが。
「そうくるよな」
迎撃に向かった一部艦隊が、次々と撃破されていく。
その高速艦隊の後方からは、一万五千隻もの艦隊がゆっくりと姿を現していた。
画面だけで、自分の数倍にも及ぶ艦隊が前方からやってくる。
実際では敵艦隊の光が視界に広がったこと
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