大会〜準決勝 前編〜
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元チェスなどは苦手だろう』
「全ての戦場が同じルールで動くわけじゃないんだから、戦略家としては問題ないでしょう」
『少なくとも同じ環境で、同じ兵力となれば貴様が勝つと私は思っている』
「理想論ですね。それに、同じ環境が戦場で作れるわけがないでしょう」
『どうかね。私は君に賭けるがね』
「先輩に褒められるのは嬉しいですが、それと今回の件はどう関係があるのです?」
『宇宙母艦を貴様はどう思う?』
「どう思うって。正直、この艦隊編成を見ても嬉しくはないですね」
それが正直な感想だった。
通常戦艦にはスパルタニアンを九隻ほど、巡航艦では三隻ほどしか乗せられない。
それが宇宙母艦になれば百隻ほどの戦闘艇を収容できるのであるが、そのメリットは正直感じられなかった。
索敵に使おうにも、航続距離の関係で索敵ならば索敵艦の方が優れている。
数光年先を飛ぶ燃料もなければ、それを旗艦に送る巨大な通信設備も乗せられないからだ。
ならば、接近戦での火力に期待できるかとは言え、連携が取れている状態であれば駆逐艦一隻にも劣る火力でしかない。
宇宙母艦の活躍の場は、相手が密集して防御態勢を取った場合だ。
部隊が密集した間を小型の戦闘艇が駆け巡り、相手に出血を与える。
いわばとどめとしての役割であって、相手が陣形を固める前に不用意に出せば、アムリッツァのビッテンフェルトの出来上がりである。
相手に近づく前に戦闘艇を潰され、近づくことも出来ずに破壊される。
そんな役割であるならば、部隊に一隻もあれば十分であろう。
最悪はなくても支障がない。時間がかかるかもしれないが、相手が防御態勢を取るなら包囲して殲滅すればいいだけだからだ。
そもそも絶対に必要なら、もっと宇宙母艦が量産されているだろう。
索敵艦や高速艦を増やしてもらった方が良かったと口にするアレスに、ワイドボーンが楽しそうに笑った。
『わかってないな、アレス候補生』
「その理由を先ほどから聞いているのですけれど」
『確かに高速機動艦や索敵艦を増やせば、貴様は楽に戦いが出来るだろうし、楽に勝てるだろう。だが、貴様が求められる戦いはそんな低いところにないのだよ』
「は?」
『一撃を持って敵艦隊をしとめる強さ。まさに、烈火のアレスとして敵に恐れられる力を必要とするのだ』
「何ですか、それは。客寄せパンダでもあるまいし」
『その客寄せパンダが必要なのだ、軍には特に。自称だろうが、他称だろうが英雄がたくさんいるだろう?』
嬉しくはないと、アレスは小さく呟いた。
魔術師と呼ばれたヤン・ウェンリーもそう思っていたのだろうか。
あるいはそれを言われてうんざりしたために、あの名言が生まれたのかもしれない。
軍には英雄がいても、歯医者に
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