第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
四十九 〜新たなる告白〜
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」
「四人とも……良いな?」
納得はしておらぬようだが、それでも四人は不揃いに頷いてみせた。
その夜。
私室で書物を読んでいると、
「殿。少し、宜しいか?」
「彩か。入れ」
「はっ、失礼致す」
珍しく緊張した表情の彩が、入ってきた。
「どうかしたか?」
「いえ……。殿に、伺いたい事があります」
「うむ。申してみよ」
「……ゴホン。と、殿は……その……」
何故か、顔を赤らめる彩。
「皆に、し、慕われている事は承知ですが……。だ、誰が一番なのかと?」
「それは、星や稟らの事を申しているのか?」
「そ、そうだ」
ふむ、彩にはまだ話してなかったか。
「その事なら、優劣はない。皆、等しく想っているが」
「等しく?」
「ああ。優柔不断、と思うか?」
彩は、激しく頭を振る。
「そんな事はありませぬ。皆、一角の人物で、器量も良い。それを相手に、誰からも愛想を尽かされぬ男が、優柔不断な筈がありませぬ」
「想いを告げられた者全てとの約定でもある。誰かを特別扱いはせぬ、とな」
「…………」
何やら考え込んでいるようだが。
「……で、では、今一つお伺いする。か、仮にだが……他の女が、言い寄ってきたとしたら、どうなされる?」
「仮に、か?」
「そ、そうだ」
……なるほど。
彩の言わんとしている事は、察する事が出来た。
だが、あまり率直に指摘しては、彩が傷つくやも知れぬな。
「そうだな。繰り返すが、私は誰か一人を特別扱いはせぬ。他の者と同じ立場、そう見るが」
「そ、それが、例え女らしからぬ者だったとしても?」
「大事なのは心根、ではないかな。女子は容貌や雰囲気も問われるのやも知れぬが、私は互いを想う心根、それを重んじているつもりだ」
「互いを想う……か」
「そうだ。世の男全てがそうとは申さぬが、私はそのように信じている」
ふう、と彩は大きく息を吐く。
「やはり、殿は……」
「私がどうかしたか?」
「……いや。で、では、私の話も聞いていただきたい」
「わかった、聞こう」
彩は居住まいを正し、私に向き合う。
「殿。……わ、私を」
「彩を?」
「そ、その……。いや、そうではなく……ええと」
これ以上、言わせるのは酷というものか。
そう思った私は、腰を上げた。
そして、
「えっ?」
驚く彩を、腕の中に。
「厭ならば申すが良い。私は、お前が嫌がる真似をするつもりはない」
「…………」
「どうだ?」
「……殿。狡いですぞ」
「狡いか?」
「そ、そうです。このようにされて、否と言える訳がないではありませぬか」
「それは、私が主人だからか?」
「ち、違う!……殿、気付いておられたのですな?」
彩が、私の胸に手を置いた。
「ふっ、そこまで私は鈍感
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