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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-40天空の兜
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ら外れる。

「脱ぐ時には、抵抗が無いのか。不思議なものだな」

 独り言のように呟いたアリーナに、国王が答える。

「うむ。そのように、資格の無い者が身に着けようとすれば、重量を増して、まともに動くことも叶わぬのじゃ。済まぬが、戦士殿も試してもらえぬか」
「は。仰せのままに」

 今度はライアンが、兜を手に取り、被る。

「……やはり……これは……、無理、ですな」

 ライアンも僅かに頭を揺らし、少し耐えた後に、持ち上げてみればやはりすんなりと、兜が脱げる。

「……それでは。そちらの、少女も。試して、くれるかの」
「……はい」

 国王に優しく呼びかけられ、意を決した少女が、進み出る。

 兜を手に取り、考える。

(勇者だから、被れるって、決まったわけじゃない。被れたら、勇者だって、決まるわけでもない。だけど、これが、被れないと。世界は、救えないかもしれない)

 小さく、深呼吸する。

(被れたって、世界が救えるか、わからない。だけど、私は、みんなを。守りたい。だから、世界は、救いたい)

 手の中の兜を、見詰める。

(考えても、きっと、変わらない。試さないと、始まらない。でも、お願い。私を、受け入れて)

 祈りを込めて兜をゆっくりと持ち上げ、頭に載せる。

 兜が吸い付くように、少女の頭に覆い被さり。
 男性のアリーナや、大人のライアンが被れる程の大きさがあり、少女には余裕があるどころか大き過ぎたはずのそれは、少女の頭に触れた瞬間に、光り輝き。

 少女の頭にぴったりと、(あつら)えたかのように馴染んで納まった。

 国王が、驚愕を顕にする。

「これは……!間違い無い、疑いようも無い!(まこと)、この少女が!いや、貴女(あなた)が、この兜を、天空の武器防具を!身に着ける資格を持つ方であられたのか!」

 国王が玉座を降りて駆け寄り、少女の前に跪く。

「どうか、世界を。お救いくだされ。国王としても、ひとりの人間としても。どうか、お頼み申します」

 少女が戸惑い、ライアンが国王の傍らに膝を突く。

「陛下。お()めください。臣下の方々も彼女も、困っております」
「しかし!……いや、そうであったな、失礼した」

 ライアンに(たしな)められ、少女の困惑に気付いて、国王が立ち上がる。

「取り乱して、済まなかった。わしの願いは、ともかく。この兜を求めて来られたからには、其方(そなた)らの願いも、わしのそれに相反(あいはん)するものでは無かろう。其方らの、無事を。旅の目的が果たされることを、祈っておるぞ」

 幼い少女への配慮を取り戻し、柔らかい言葉で告げる国王を、少女は見つめ返し、答える。

「……はい。ありがとう、ござい
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