暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-40天空の兜
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
言葉を待つ。

 暫しパノンを厳しい表情で見詰めていた国王が、重々しく口を開く。

「……パノンとやら。よくぞ、わしの心を見抜いた。確かに、わしが、このお触れを出したのは。地獄の帝王の復活などという噂が蔓延(はびこ)り、魔物共が力を増し、暗雲立ち込める世の中に、不安を抱える人々の心を、明るくせんがため。お触れを聞いた芸人が集まることで、少しでもこの国が明るくなればと、思うてのことじゃ」

 国王は一旦言葉を切り、更に続ける。

「しかし、其方(そなた)の言う通り。小手先の笑いなどでは、人々の明るさを、希望を取り戻すことなど、出来よう筈も無かった。(まま)ならない現実に、わしの苛立ちも、増すばかりであった」

 国王が一行に、特にライアンとアリーナ、次いで少女に視線を向ける。

「この者たちならば、世界を救い、人々に希望を取り戻せると。そう、申すのじゃな?」

 パノンが、答える。

「はい。仰せの通りです」
「それが、(まこと)であるならば。確かに、天空の兜を与え、旅の助けとするべきであろうな」

 国王は間を置き、また口を開く。

「……疑う訳では無い。その者たちの実力は昨日、(しか)とこの目で見届けた。されど、天空の兜は、唯一無二の宝じゃ。身に着けられる者すら見付からぬ、神秘の品じゃ。役立てられぬ者に、間違っても渡す訳には、ゆかぬ。確証が欲しい」
(まこと)に、仰せの通りです」
「その(ほう)らが、天空の城を目指すと言うのなら。身に着けられぬ兜を、手に入れても仕方あるまい。今ここで試し、身に着けられるならば。天空の兜を、与えることを約束しよう。それで、構わぬか」
「はい。王様の深慮の程に、感服いたすばかりです」
「では、天空の兜を。ここに、持て」

 国王の指示に、すぐに衛兵が動き出し、間も無く兜が運び込まれる。

 ミネアが、少女を促す。

「さあ、ユウ」
「……やっぱり、私、なの?」

 国王が、怪訝な顔をする。

「……疑う訳では、無いが。……その、少女であるのか?他にも戦士殿や、武術家殿が、おられるようだが。あ、いや、その少女の剣技も、十分に素晴らしいものではあったがの」

 俯く少女に、慌てて国王が言葉を追加する。

 アリーナとライアンが、進み出る。

「百聞は一見に()かずと言うからな。俺たちでは無いと、先に確認するのもいいだろう」
「仰せの通りで」

 アリーナが天空の兜を手に取り、被る。

 途端に兜が重量を増し、アリーナの頭に負荷をかけ、アリーナの頭が僅かに揺らぐ。

「くっ……これは……!……重い、な」

 再び兜に手をかけ、脱ごうとすればすぐに重量は失われ、兜のほうから外れようとするように、あっさりとアリーナの頭か
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ