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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-40天空の兜
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、奥にいるよ。パノン!」

 座長が呼びかけ、奥の部屋から、舞台用の化粧を施さない、人の良さそうな平凡な顔を晒した男、パノンが現れる。

「座長さん、なにか……おや、マーニャさんたちではないですか!昨晩は、私のステージをご覧いただいたようで。ありがとうございました!」
「おお、気付いてたのか。楽しませてもらったぜ」
「それは、光栄です。ところで私になにか、ご用で?」
「ああ。ちっと、力を借りたいことがあってな」


 マーニャが話を切り出したのを皮切りに、仲間たちが代わる代わる事情を説明する。

 話を聞き終えたパノンが、状況を整理する。

「まとめると。スタンシアラの王様は、自分を大笑いさせよとのお触れを出した。大笑いさせれば、望むままの褒美がいただける。みなさんの旅には、スタンシアラ王家に伝わる、天空の兜が必要。そこで、私に王様を笑わせて欲しいと」

 一行が、頷く。

「既にみなさんは、一度挑戦されて、失敗されている。そして全く笑わせていないにも関わらず、王様の感触は悪くはなかった。特に、武技を披露されたときに」

 一行が、また頷く。

「ふむ。問題は、王様が、なぜ、笑いを求めているか、ということ。そして、その鍵が……。武技に、天空の……。……天空の、城……。…………わかりました!お受けしましょう!」
「おお!恩に切るぜ!」

 一行に頷きつつ、パノンが座長に向き直る。

「では、座長さん。お約束通り、私はこれで」
「ああ。今まで助かったよ、ありがとう。昨日までのお給金を取ってくるから、少しだけ待っていてくれるかい?」
「おいおい。ちょっと行って、帰ってくるだけだぜ」

 このまま劇場を去るかのようなパノンと座長のやり取りに、マーニャが口を挟み、座長が答える。

「元々、そういう約束だったんだよ。パノンが、新たなインスピレーションを得るような出来事に出会うまで、この劇場で働いてくれると。」
「客が納得しねえだろ」
「毎晩がラストステージという触れ込みでやっていたからね。随分と話題になったし、稼がせてももらったし。問題ないよ。」
「……なんつーか……。ちゃっかりしてんな、座長」
「誉め言葉だね、経営者としては。」



 パノンの身支度が済むのを待って、一行はルーラでスタンシアラに飛ぶ。

 またゴンドラに乗り込み、城へと乗り入れて、玉座の間に向かい、並んで順番を待つ。

「どうせ、笑わねえんだからよ。諦めて帰っちゃくれねえかな」

 昨日より更に伸びているように見える行列に、うんざりしたようにマーニャが言う。

「無茶を言うなよ。このためにわざわざ来た人たちがたくさんいるんだから、そうはいかないだろう」
「全員、ルーラで来たってこともねえだろうし。移動
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