宇宙戦艦ヤマト異伝
背水の陣
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細な高音域の女声が囁き、心の奥底に響き渡った。
「惑星メルの王女メローラより、宇宙航行種族《スペーサー》の皆様に御連絡致します。
女神救出作戦《プロジェクト・スワティ》が、発動されました。
この鍵言葉《キー・ワード》に拠り、永続性催眠暗示命令は解除《リセット》されます。
記憶封鎖《メモリー・プロテクト》、表層の記憶は消え去り真実の記憶が回復します。
可能性を統べる女神の記憶を回復された方々の許へ、私の映像と音声が到着しています。
私の他にも多数の協力者が、既に行動を開始しています。
時間移動を必要とされる方々には、時間跳躍者《タイム・リーパー》が派遣されます。
次元間転移を必要とされる方々には超次元間の遠隔精神感応、心話に拠る誘導を試みます。
大宇宙《グレート・コスモス》全体を対象とする放送は、以上で終了です。
親愛なる皆様へ祝福を贈り、心底より御助力に感謝致します」
ガミラス帝国は、未曾有の大混乱に陥った。
封印が解かれ甦った記憶に拠れば、我がガミラス帝国は既に滅亡していたのだ。
宇宙艦隊の熟練乗組員から、帝星ガミラスを一歩も出た事の無い総統府勤務者に至るまで。
自らの最期を、己の死の瞬間を記憶していた。
私も、ヒスも、ドメルも、シュルツも、全ガミラス星人が己の死を『思い出した』。
母星ガミラスもまた、宇宙の塵と化していたのだ。
我々が現実《リアル》と信じていた世界は、真世界《オリジナル》ではなかった。
女神の尽力に拠り、再創造された複製世界《レプリカ》であった。
時空変換点《クロス・ポイント》は、地球艦隊の冥王星《ハデス》遠征であったらしい。
冥王星前線基地は当時、ガミラス本星から厳命を受けていた。
波動エンジンの設計図を、地球人類へ渡してはならぬ。
サーシャの乗るイスカンダル恒星間宇宙巡航艇を捕獲、または破壊せよと。
イスカンダルの快速艇は唯一の乗員に頼らず、自動操縦《オート・パイロット》で跳航《ワープ》。
ガミラス艦隊に易々と撃破される直前、沖田率いる地球艦隊11隻が突入して来た。
シュルツは冥王星軌道上に宇宙艦隊を展開、万全の態勢を整え待ち構えていたが。
古代守の指揮する駆逐艦『ゆきかぜ』は無謀な肉薄攻撃を敢行、攪乱され阻止線に隙が生じた。
快速艇の自動航法判断機構は、艦隊が交錯する戦場を強引に突っ切る選択肢を採用。
ガミラス艦隊は地球艦隊に気を取られ、阻止線の盲点を突かれた。
自動航法判断機構は衛星の破片、宇宙塵《スター・ダスト》の間隙を強行突破。
直径数ミリであれ衝突すれば大爆発する重大な危険を承知で、減速を回避。
外宇宙航行速度を維持した儘、一気に第4惑星の火星《アレス》へ疾走している。
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