宇宙戦艦ヤマト異伝
背水の陣
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「大ガミラスの勇敢なる戦士諸君、勇戦に感謝する。
無限艦隊の襲来から約半月、365時間が経過した。
誠に残念ではあるが、太陽系防衛戦の現状は諸君も御存知の通りだ。
月の軌道に配置された最後の砦、戦闘衛星群の最終防衛線《デッド・ライン》も崩壊寸前。
我々を第1次人類の末裔と認めてくれた盟友、地球人《テラナー》も絶滅の危機に瀕している。
風前の灯となった第2次人類の代表者、太陽系連邦の首席から連絡が届いた。
『太陽系の第4惑星、火星《ガミラス》を祖先の地とする方々に申し上げる。
我々を護る為に奮闘を重ね、多数の死傷者を出した貴軍の勇戦に感謝する。
地球人類の恩人スターシア、サーシャ殿を貴軍に託し新天地へ御連れ願いたい。
これ以上の戦闘継続は不要、太陽系を脱出し大宇宙の何処かへ転進されよ』と。
宇宙機雷の障壁、宙域防御《ゾーン・ディフェンス》も数分後に在庫が尽きる。
既に諸君も御承知の通り、火星防衛軍も音信不通。
本来であれば最高司令部の戦術的失敗を認め、自由行動を認める状況ではあるが。
私は第2次人類の犠牲を代償とする敵前逃亡、戦術的撤退の選択肢を放棄する。
『我等の前に勇者無く、我等の後に勇者無し』。
火星防衛の任を買って出た勇将、シュルツが私に教えてくれた言葉だ。
我々、ガミラス星人は戦闘民族である。
今この瞬間に至るまで、ガミラス宇宙軍が敵に背を向けた事は無い。
水星《イスカンダル》の旧称を復活させた第3惑星、地球に崩壊の刻が迫っている。
我が軍の転進は最終防衛線の崩壊、地球人類の全滅に直結する。
我々は第1次人類の名誉に懸け、最期まで闘う事を以て、彼等の恩に報いなければならない。
ガミラス総統としての最終判断に、戦友諸君も賛同して戴ける事と信じている。
これまで、良く、私の拙い指揮に従いて来てくれた。
私は、諸君と共に戦えた事を誇りに思う。
栄光ある大ガミラスの総統として、諸君に、一言だけ申し上げたい。
ありがとう。
…以上だ」
『火星を枕に』と発言したのは、言葉の綾だ。
月《アルテミス》の裏に急造された砲台群、月影《デス・シャドウ》は既に潰えた。
衝撃波砲《ショック・カノン》の塊、死の星《デス・スター》及び反射衛星砲360基も壊滅。
内部衝撃波を発生し共鳴させ、照射物質を破壊する大口径断続式光線砲を装備の宇宙要塞。
中小口径のパルス・レーザー及び多数の熱線砲、電磁砲を配備した防衛施設。
対宇宙近接防衛陣地、通称《軍艦島》も沈黙に至っている。
ガミラス宇宙艦隊は新たな故郷、太陽系の第4惑星に骨を埋めず地球《テラ》周辺に後退。
私の名を冠し総統府を兼ねる円塔型戦艦、及び護衛の駆逐艦《デ
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