第二十四話 そのベッドは俺のだぞ
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
動員兵力は三千万を超える!」
『ああ、分かっている! 皆に言ったよ、そんな金は無い! そんな金は何処にも無いってな!』
吐き捨てるような口調だった。レベロにとっても私にとっても予想外の事が起きた、一体何が起きた、何故あの出兵案が採用される……。
ここ近年同盟軍は敗戦続きだ、休養しなければ兵の練度を保てない、度重なる戦闘による消耗で兵は新兵ばかりになっている。そして政府は借金に喘いでいる。なんとか軍事費を削減し民力の休養に努めなければ国が疲弊してしまう。私とレベロは出兵を阻止するべきだという意見で一致した。
八個艦隊、動員兵力三千万、馬鹿げた出兵案だ。だがだからこそ最高評議会を説得できる、私とレベロはそう思った。中途半端な出兵案では可決されるか或いはより規模を大きくした出兵案を要求されるだろう。ならば最初から無謀なまでの出兵案を提示して阻止する。それ以外の出兵案は意味が無いとして拒否する……。
政府が眼に見える戦果を求めているのであれば帝国軍の大軍を撃破するのが一番だ。だが帝国軍は簡単には出てこないだろう、だとすれば辺境星域を占領する。そして占領地の奪回を図る帝国軍を待ち受け撃破する。そのためには占領地を維持しつつ帝国軍を待ち受けるだけの戦力が必要だ。八個艦隊、動員兵力三千万はおかしな数字ではない。そして同盟の国力から言って認められる数字でもない筈だった。
『出だしは悪くなかった。皆が出兵案の規模に鼻白んでいたからな。私が財政面から出兵に賛成出来ないというと頷く人間も居たほどだ。ホアンも反対した、あのまま行けば出兵案は否決されるか再検討という事になったはずだ』
「だが可決された、トリューニヒトか?」
私の問い掛けにレベロは力無く首を横に振った。
『違う、彼は出兵案に反対した』
「反対した?」
『ああ、最後まで出兵に反対したのは私とホアン、トリューニヒトの三人だ』
トリューニヒトが反対した……。
『コーネリア・ウィンザーが馬鹿げた事を言ったんだ』
「……新任の情報交通委員長か」
私の言葉にレベロが頷いた。
『犠牲無くして達成された大事業など無い、どれほど犠牲が多くても、例え全市民が死に至っても為すべき事は有ると……』
「馬鹿な、それが政治家の言葉か……」
『君の言う通りだ、馬鹿げている、政治の論理ではない。だが彼女の言葉は出兵を望んでいる連中に大義名分を与えた様なものだ。あれで空気は変わってしまった……』
「なんて事だ……」
そんな馬鹿げた意見で出兵が決まったというのか……。
『シトレ、出兵して勝てるか?』
スクリーンのレベロがじっとこちらを見ていた。
「分からない、戦いは相手が有る事だ。だが難しいだろうな、ここ近年同盟軍は帝国軍に負け続けている。帝国軍は手強い」
レベロが頷い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ