第二十四話 そのベッドは俺のだぞ
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
勝ち過ぎたのだろうか……。
「政治家達もそれに便乗する様な発言をしていますね」
「そうだな、不祥事が有ったから市民の目を逸らしたいんだろう。勝利を得られれば支持率も上がる……」
情報交通委員長が企業から不当な利益を受け取っていた事が公になり先日辞任した。政府は同盟市民の目をそこから逸らしたいと思っているのだろう。
政治家達のお得意の手だ、国内に問題が有る時は対外的な問題を起こして市民の目を逸らし国内を纏め上げる。国家というものが成立した時から行われてきた常套手段だ。だが政治家達は分かっているのだろうか? それに失敗すれば国を失う事さえあるという事を。人間という生き物は利益に目が向くとリスクというものが見えなくなるらしい。
「実際に政府は何と言ってきているのです?」
「出兵を検討せよ、そういう事だな。それを受けて今統合作戦本部で検討している」
「規模は?」
問い掛けると司令長官が顔を顰めた。
「ふむ、具体的には言わなかった。だが大きな戦果を求めている、それが可能な規模という事になるだろう」
つまり大規模な出兵か……。
「狙いは何でしょう、帝国軍の撃破でしょうか?」
「さあ、或いは星系を占領とか考えているかもしれんよ」
「まさか……、維持にどれだけの費用がかかるか。それにイゼルローン回廊の出口付近は帝国でも辺境と呼ばれる地域です。占領するメリットが有りません」
イゼルローン要塞の奪取とともに要塞に有った帝国の情報も同盟の物になった。星域情報、航路情報、補給基地の所在地などだ。そこで分かったのは帝国の辺境星域は極めて貧しいという事だった。あそこを占領しても何の意味も無い、むしろデメリットの方が多いだろう。帝国は痛みを感じないだろうし同盟は維持費に金がかかるだけだ。
「恒久占領でなくても良いのかもしれん。一時的に占領し市民を満足させる。その後で放棄する。理由は貴官が言ったように金がかかると言えば市民も納得するだろう。誰だってこれ以上の増税は望むまい」
皮肉そうな口調だった。政治家を皮肉ったのか、それとも同盟市民に向けられたのか……。
「出兵は決定なのでしょうか?」
「……政府は軍部からの出兵案の提出を受けて是非を検討した上で決定するそうだ、茶番だな」
司令長官が嘆息した。全く同感だ、茶番でしかない、自分達が戦争を主導したと言われたくないらしい、疾しいのだろう。
「政治家の中にも出兵に反対する人間はいる、レベロ財政委員長とかな。シトレ本部長とは親しいらしい。幼馴染だと言っていた」
「……」
「なんとか出兵せずに済む方法は無いかと相談しているそうだが……」
「良い方法が有れば良いのですが」
“そうだな”と司令長官が頷いた。そしてこちらを見た。
「軍の中にも出兵に賛成する声が有ると聞くが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ