第二十四話 そのベッドは俺のだぞ
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インの冷徹な声のバトルは笑える、話しが全く噛み合わないんだ。今のところ爺さんの方が優勢だな。俺の苦労を少しでも軽減してくれているんだ、役に立っていると判断しよう。
結婚して一カ月が過ぎた。アンネローゼは慣れたようだ、結構楽しそうに家事をこなしている。元々貧乏な家に生まれたからな、召使いとか居なかったわけだし主婦業は苦にならないんだろう。良い傾向なんだが料理は今一つだな。不味くは無いがレパートリーが少ないんだ。十五で後宮に入ってからは菓子作りが精々だ、今後に期待、そんなところだろう。
夜の方はお預けだ。皇帝から寵姫を下賜された場合は三ケ月間は同衾を禁止するんだそうだ。要するに誰の血を引いているのか分からない子供を作るなという事らしい。DNA検査をすれば分かるじゃないかとも思うんだが人間ってのは想像力が豊かだからな。妙な噂が流れると混乱の基になる。
最初にアンネローゼに済まなさそうに言われた時には後継者が決まっていないから用心深くなっているのかと思ったがエーレンベルクやシュタインホフからも冷やかされたから貴族社会では常識らしい。なるほどなあと思ったよ。でもなあ、三ケ月お預けって虐めに近いよな。おかげで俺はベッドをアンネローゼに譲りソファーで寝ている。この時期で良かったよ、冬だったら寒くて風邪をひいていた。あと二カ月我慢しないと……。
ラインハルトに教えたら気が狂ったみたいにキャンキャン騒ぎ出した。姉には罪が無いとか侮辱するのかとか、どうしてお前は断らないんだとかお前なんか姉には相応しくないとか言ってた。余計な御世話だ、俺だって望んだわけじゃないぞ。わざわざ状況を教えてやったのにそれも分からないんだから……。本当なら姉を宜しく頼むとお前が頭を下げるところだろうが、この馬鹿たれ。
あんまり腹が立ったんで二度と口を開くなと言ってやった。これまで自分が優遇されてきたってのが分かって無いらしい。寵姫の弟じゃ無くなったから呼び戻す事は可能だがトラブルの元凶になりそうだ。当分辺境で頭を冷やさせよう。そこで耐えるという事を学んで来い、期待薄だけどな。
宇宙暦796年 8月 20日 ハイネセン 宇宙艦隊司令部 ヤン・ウェンリー
「どうもおかしな具合になったな、ヤン少将」
「はい、全くもって同感です」
私の答えにビュコック司令長官が顔を顰めた。
「軍人よりも政治家達の方が好戦的になるとは、いや好戦的なのは同盟市民か……」
まったくおかしなことになった。イゼルローン要塞を攻略して一息つけると思ったのだが同盟市民の間から帝国領へ侵攻すべきだという声が出ている。自ら好んで戦争など一体何を考えているのか……。戦えば死傷者が出るし必ず勝てると決まったわけでもない、その事を市民は忘れているらしい。イゼルローンで鮮やかに
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