第五十一話 上からの返事その六
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「私達と戦うか」
「敵は倒せる時に倒す」
スペンサーはこの言葉も出した。
「そうした主義ですので」
「私は自衛隊についてはあまり知らない」
権藤はこの前置きをしてから述べた。
「無論軍もだ」
「生粋の文民ですか」
「大抵の日本人がそうである様にな、しかしだ」
「それでもですん」
「だがそれがどういった考えかはわかる」
スペンサーの敵は倒せる時に倒すという考えである。
「軍人の考えだな」
「その通りです。私は軍人ですから」
「今の私達でも戦うか」
「倒します」
言ったその瞬間にだった、スペンサーはその右手に彼の剣を出した。
巨大なトゥーハンドソードだ。その剣を手にしての言葉だった。
「今から」
「まずいな」
権藤はこの状況を鑑みて冷静に呟いた。
「この状況は」
「ああ、ちょっと以上にな」
加藤も言う。
「これはな。撤退するか」
「逃げるか」
「そうするか、戦える状況じゃない」
これが加藤の判断だった。実際にだ。
スペンサーを見ているが構えていない。今にも駆けようとしている。
それは権藤も同じだった。彼もまたこう言うのだった。
「ここで戦っても倒されるだけだ」
「そうだな」
「私も同じだ。退く」
つまり戦場を離脱するというのだ。
「そうしよう」
「生憎だが俺は俺のことしか考えない」
加藤はその権藤にこう告げた。
「剣士としてはな。あんたは敵だしな」
「その通りだな。私も同じだ」
「あんたもあんただけが逃げるんだな」
「そうさせてもらう。運がよければまた会おう」
「それじゃあな」
二人はそれぞれ逃げようとした。だが。
その二人の前にまた一人出て来た。その彼はというと。
高代だった。彼は既に自分の剣を手にしている。
その手に持っている剣を一瞥してから彼はまずは二人に対してこう言った。
「貴方達もいたのですか」
「私達もいただと」
「どういう意味だよ、それは」
高代は既に二人に会っている。それで戦っていたのだ。
だからこそ二人にこう言ったのだ。敵同士とはいえ知人として接したのだ。
そして彼は二人にこうも言った。
「ここで倒すべきでしょうね」
「わかっているのか。私は今は力が残っていない」
「俺もだ」
二人はそれぞれ高代にこう述べた。
「逃げるしかできない」
「残念だがな」
「では逃げて下さい」
高代はこう二人に言ったのである。そしてだった。
彼から見て少し離れた場所にいるスペンサーを見据えてこう言ったのである。
「私は教師でして」
「日本の学校のですね」
スペンサーもその高代に応える。
「そうですね」
「高校で教えています。教師ですから」
「だからですか」
「出来るだけ生徒の、人の範にな
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