8部分:第八章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
得できるものがあるようであった。
「警視庁の面々が早いうちに仕切るのを止めたのは」
「それでか」
警視庁本部はこうした特別な事件になると人員を派遣して捜査の主導権を握り現場のスタッフを下に置くことがままある。だがそれはあくまで『普通の』特別な事件に関してでありこうした『普通ではない』特別な事件においては速水や沙耶香のような人間が雇われる。そうなると捜査も事件の解決も彼等に委任されてしまうのだ。理由は簡単で『普通の』人間では解決できない事件だからである。
「成程な」
「おかしいと思っていたら」
「とりあえずそういうことで御願いします」
速水はあらためて彼等にそれを述べる。
「捜査は私達に全て委任させて頂くということで」
「そうすれば話は終わるから」
「わかりました。それでは」
彼等は二人のその言葉に頷く。彼等としても仕事が大幅に減るいい話なのだ。
「是非共御願いします」
「それで」
「わかりました。それでは」
速水が笑って彼等に応えた。
「そういうことで御願いします」
「では私はサポート、連絡役ということで」
だが警部だけは責任感と職務からこう申し出てきた。現場の責任者である彼だけはどうにもこれから逃れることはできなかったのである。
「それで宜しいですね」
「ええ」
速水は笑ってその言葉に頷く。
「ではそれで御願いします」
「わかりました。それでは早速捜査をはじめましょう」
「あら、もうなの」
沙耶香はその言葉を聞いて笑ってきた。
「少し気が早いのではないかしら」
「まあこういうものは思い立ったがですので」
しかし彼はこう言ってきた。結構勤勉であった。
「すぐにでも。犯人は待ってはくれませんし」
「それは確かにですね。ただ」
「ただ?何か」
速水の言葉に顔を向ける。彼が何を言わんとしているのか掴めてはいなかった。
「既に彼は動いているかも知れません」
「今日ですか」
「はい」
ここで懐から一枚のカードを取り出してきた。それは十六番目のカード、塔であった。言わずと知れたタロットの中で最悪のカードである。俗にバベルの塔の崩壊を表していると言われている。カードの意味は破滅、崩壊等だ。逆でも意味はさして変わらない。
「これを見ていると。また事件が起こったかも知れません」
「まさか」
「昨夜にでもね。だったら有り得るのではなくて?」
沙耶香もここで言ってきた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ