第四十話 二学期のはじまりその三
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「じゃあ五人でね」
「行こうね」
「いや、ハンバーガーもいいよな」
美優はまたこう言った。
「あれって案外お酒にも合うんだよな」
「ビールとか?」
「チューハイにも合うよ、赤ワインにもな」
「ふうん、ワインにもなの」
「赤な」
そちらに合うというのだ。
「それでマクドとかモスで買ってコンビニとかで買ったワインでな」
「飲むのね」
「意外といけるからさ」
だからだというのだ。
「やってみたらいいよ」
「そう、それじゃあ」
「まああの店もお酒あるけれどな」
実は五人共その店のことは知っている、美優も然り。
「制服で行くとな」
「やっぱり制服で飲むのはね」
「流石にね」
他の四人もこのことには苦笑いで言う。
「はばかれるわよね」
「幾ら八条町でも」
町の条例で十五歳以上の飲酒が認められているこの町でもだというのだ。
「制服で飲むのはね」
「流石にはばかれるから」
「今はね」
酒は止めておこうというのだ。
「そういうことでね」
「じゃあジュースとかコーラで」
「それでいこうか」
「そうしよう」
こう話してだった、まずは部活をしてだった。
五人でハンバーガーをたらふく食べてそれからそれぞれの家に帰った、琴乃は家に帰ってからこう母に言った。
「いや、今日はね」
「始業式どうだったの?」
「普通よ」
「普通って」
「何ともなかったわ」
有り触れた、ごく普通の始業式だったというのだ。
「本当にね」
「そうか」
「ええ、そうよ」
その通りだというのだ。
「けれどその後でね」
「何か食べてきたでしょ」
「わかる?」
「だってもうお腹一杯って顔だから」
にこにことしただ、そうした顔だというのだ。琴乃の今の顔は。
「それだけでね」
「そうなのね、まあ実際にね」
食べてきたとだ、琴乃も素直に答える。最初から隠すつもりはなかったが。
「ハンバーガー食べてきたのよ、皆で」
「彩夏ちゃん達とよね」
「そう、食べ放題でね」
それに行って来たというのだ。
「フリードリンクだったし」
「何処のお店かすぐにわかったわ」
母もそのことを察していた、そのうえでの言葉だ。
「本当にね。ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「お母さんもお昼行って来たから、そのお店に」
「そうだったの」
「それで色々食べたけれど」
「美味しかったわよね、しかも安かったし」
「九八〇円だからね。けれどね」
「けれどって?」
「琴乃ちゃん夜大丈夫?」
怪訝な顔でだ、母は娘に問うた。
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