暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
第30話 替え歌
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るから」
「それ以上言ったら、更に倍になるけど?」
「はあ!?」

 ****

 そんなこんなで今に至る。

「キリト君は押しに弱いとこあるもんねー」

 明日奈がからからと笑う。

「他人事だと思って……」と和人。

 ──音楽関連だったら、なにか手伝うことができるかもしれない。
 まりあはそう思い、和人に訊ねる。

「テストにはどんなものが出そうですか?」
「授業で習った歌の歌詞とか……そんなんだろ。まあ、テストの内容については心配ないけど……あ、いいこと思いついた」

 和人がニヤリと笑い、ペンと紙を取り出す。

「替え歌でもして遊ぶか」
「……キリト君、発想が小学生だよ?」
「う、うるさい」

 明日奈の言葉に、和人は僅かに頬を赤く染めた。

「じゃあ、まずどの歌でやるか……」

 和人が鞄に入った音楽ファイルを繰る。

「あ、これなんてどう?」

 明日奈が提案したのは、?ハレルヤ?だった。

「……あのな、注文しないなら寮に帰ってくれ」

 黙っていたエギルが言うが、和人は完全無視。

「せめてピザとかポテトとかコーヒーとか……なんでもいいから注文くらいしてくれ」

 エギルが続けるが、和人は聞いていないようだ。

「うーん……あ」

 数秒間難しそうな顔をしていた和人が、パッと表情を変え、ペンを取った。

「これでいいだろ」

 まりあと明日奈が覗き込んだ。
 ──ハゲルヤ
 その内容に、明日奈が吹き出した。

「キリト君っ……ほんとに小学生の発想だよ、これ!」
「あ、見て下さい。この先もっと子供っぽいです」

 まりあが紙をツンツン指先でつつく。

「どれどれ……」

 ──For the Lord God Omnipotent reigneth,Hallelujah!

 ──超ヤサイ人ゴット鬼 あ、ポテトでいいです

「何気に注文入れてる!?」

 ツッコんだのは明日奈だ。

「ていうか、なによ超ヤサイ人ゴット鬼って! 君高校生でしょ!?」
「つっこむのやめてもらえないかな!? なんか恥ずかしいだろ!」

 まりあは溜め息を吐いた。

「ハゲルヤって……キリトはもっと大人びた人かと思ってました」
「このハゲっていうのは、エギルのことなんだ」

 和人はサラリと失礼なことを口にした。

「キリト……お前これから、食事代10倍な」
「すみませんでした」

 エギルの言葉に、和人は真顔で返した。

「じゃあ、これは? ?君をのせて?ってやつ。さすがにこれじゃあ難しいでしょう」

 明日奈がその譜面を提示する。

「あ、それなら余裕かも」

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