火竜と空と猿と牛
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
スの馬鹿力によって引っ張られた5人は、マカオの治療を行っていた。
「接収される前に、相当激しく戦ったみたいだね」
「酷い傷だわ」
「マカオ!しっかりしろよ!」
「バルカンは人間を接収する事で生きつなぐ魔物だったのか・・・」
「脇腹の傷が深すぎる・・・持ってきた応急セットじゃどうにもならないわ」
そんな会話をする間にも脇腹からは血が流れ、マカオは苦しそうに息をする。
すると、引っ張られてからずっと黙っていたルーが口を開いた。
「・・・ナツ、どいて」
「何言ってんだよルー!マカオを置いていこうってか!?」
「違うよっ!こーゆーのは僕の専門だからどいてって言ったの!」
その言葉に黙ってナツはそこを退く。
さっきまでナツが座っていた位置にルーは立ち、魔法陣を展開させた。
「風よ、癒しの風を運べ・・・大空治癒!」
ぽわぁ・・・と緑色の光がマカオを包む。
脇腹の傷が見る見るうちに塞がり、数秒経ったときには傷の跡さえ消えていた。
「おぉっ!」
「何、今の・・・」
「僕の魔法、大空は攻撃も出来るけどどちらかといえば治癒や補助が得意なんだ。だからこーゆーのは僕の専門だって言ったんだよ」
「聞いた事もない魔法・・・」
「そりゃそうだよ。この魔法界をいくら探したって、使えるのは僕だけだからね」
「え?」
「はぁはぁ・・・クソッ・・・情けねぇ・・・」
聞き返したルーシィだったが、丁度軽く意識を取り戻したマカオの声によって、それは遮られた。
「19匹は・・・倒し・・・たん・・・だ」
「え?」
「20匹目に・・・接収・・・され・・・」
「解ったからもう喋んなっ!」
「僕の魔法で傷は閉じたけど、無理するとまた傷が開いちゃうから!」
ナツとルーの言葉にも構わず、マカオはしゃべり続ける。
(うそ・・・!?あの猿、1匹じゃなかったの・・・!?そんな仕事を1人で・・・)
「ムカつくぜ・・・ちくしょオ・・・これ・・・じゃ・・・ロメオに・・・会わす・・・顔が・・・ね・・・クソッ」
「黙れっての!殴るぞ!」
「マカオが何体怪物倒そうが関係ない!ロメオはお父さんが帰ってくるのを待ってるんだよ!」
(凄いなぁ、やっぱり・・・敵わないなぁ・・・)
傷の痛みに耐えながら、己の不甲斐なさを嘆くマカオ。
一方ルーシィは改めて、妖精の尻尾の凄さを実感したのだった。
夕日が沈みかけているマグノリアの街。
そこにはロメオが本を手に、マカオの帰りを待っていた。
そんなロメオの脳裏に、ある日の少年たちの言葉が浮かんでいた。
「酒臭い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ