例えばこんな我儘をあいつは許してくれるだろうか
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でもなくエネルギーを喰うから「スライサー」で行くか。
「ニヒロ」のシールドエネルギーは競技用設定が常に解除されているため1800程度。絶対防御が無いことを考慮すればけっこう余裕がある。対する福音はカタログスペックではMAXで3000。暴走からかなり経っているが未だに二千強のエネルギーを持っているだろう。
「とっとと来い、スライサー」
右手に柄のような棒を展開する。それを握ると共に棒の先端から非実体の刃が姿を現した。『ガーデン・カーテン』のデータを応用して作られた半結晶剣、「切り裂く」事に特化した刃。ゆえに名前はスライサー。その出力を最大にし、その切れ味を極限まで上昇させる。半結晶は物質でないがゆえに通常では実現できないほど薄い刃も形成できる。そいつの強度をエネルギーをつぎ込んで底上げしてやればコイツの完成だ。半結晶には他にもいくつか使い方があるのだが、今必要なのはあの鉄の羽を切断する刃だ。
ISに埋め込まれた翡翠色のパーツはそれぞれがスライサーと非実体防壁「パラソル」のエネルギーを増幅するためのパーツであり、剣を抜くと同時にそのパーツが一斉に輝きを増す。
髪も光るし武器も光るしパーツも光るし、ISで戦闘すると八多羅滅多羅光って困る。
「さて、こいつは出力次第で中身も殺っちまうから面倒だが・・・その羽を削ぎ落すには丁度いい」
言葉を終えると同時にブースト。フレキシブルブースターによって齎された変幻自在の変則機動で福音が放ったエネルギー弾を躱し、突っ込む。
福音は確かに強い。性能も相当のものだし火力もシャレにならない。だがあれは暴走しているがゆえに有人機の老猾さが一切ない。故にジェーンにとってそれを避けるのは容易く、追い詰めるのもまた同じだった。
「お前の動きは人間を真似てるだけだ。中身がその様じゃ私に勝てる道理もない・・・」
瞬間に3度の光が奔り、福音の片翼が綺麗に3等分された。翼に集中していたエネルギーが行き場を失い、血が溢れる様に破損部から流出する。
福音は反応できなかっただろう。狼人間の反射速度は超人より物理的に速い。そしてその反射速度に合わせたISを用いていればこの程度の芸当は出来て当然だ。例え軍用機であってもそれは同じこと。
「実戦を知らないアイツらなら苦戦したろうが・・・」
すぐさま反転、不安定になったエネルギーが誘爆してバランスを崩す福音の脇をすり抜け、再びすれ違いざまにスライサーを二閃。もう片翼が十字に切り裂かれた。
「堕ちろ、福音。生憎私は坊主の説法など興味はない」
聖人様の妄言で腹は膨れない、と言うのが持論だ。
翼の推進力を失い落下する銀の福音。全身装甲はその機体重量故に推進系へのダメージが最も痛手となる。翼
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