第百五十八話 ヴァンフリート星域会戦 その7
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だが」
「それは昨日の位置情報だ、古すぎて使えんぞ!」
艦橋では参謀達が各艦隊の位置が判らないと大騒ぎしていた。
その喧噪をイライラしながら、総司令官ロボス元帥は眺め、総参謀長グリーンヒル大将は困惑しながら見ているしかなかった。
ヴァンフリート星系は恒星ヴァンフリートが不安定なために電波の通りが悪い為連絡がし辛くそのために各艦隊の連絡が滞ってしまっていた。その為、旗艦アイアース旗下の艦艇が著しく不足し、総旗艦が孤立する恐れが生じていた。
「仕方ない、連絡艇を出すしかない」
「時間は掛かるがそうするしかないだろう」
連絡不能の各艦隊に向かって連絡艇が次ぎ次ぎに出発していった。
そんな中、無駄飯ぐらいのヤンこと、ヤン・ウェンリー大佐は足をコンソールに投げ出しながら、暇そうになにも仕事をしないで、事態の推移を考えていたが、端から見ると役立たずにしか見えなかった。
■自由惑星同盟 第五艦隊旗艦 リオグランテ
「何、帰還命令だと」
第五艦隊司令官ビュコック中将は、副官ファイフェル少佐が持ってきた帰還命令書を読みながら、参謀長のモンシャルマン少将に話しかけた。
「少将、この状態での帰還は危険だな」
「そうですな、このまま反転した場合、敵艦隊の鼻先を掠めることに成りかねません」
「そうなると、此処はこのまま進撃した方がよさそうだ」
二人の話を横で聞いていた、副官のファイフェル少佐がビッコックに問いかける。
「では、総司令部にはどう連絡なさいますか?」
ビュコックは少し考えながら答える。
「迷子に成った、第五艦隊は迷子に成った。いや連絡は不要だな。シャトルの連中には酒をたんまり飲ませて寝てもらってしまえ」
ビュコックは敢えて総司令部の命令を無視することにしたが、その事がどの様な結果をもたらすかこの時点では判らなかった。
その後、進撃を続けた第五艦隊は、ヴァンフリート第四惑星に近傍を通過しつつある中で、ヴァンフリート4=2後方基地から緊急連絡が入ってきた。それは一方的に全方位に流された物であったが、後方基地が帝国軍一個艦隊によって攻撃されつつあると言う物であった。
「ヴァンフリート4=2の後方基地からの緊急通信です」
ファイフェル少佐から渡された、救援要請の電文を読んだビュコックはモンシャルマンに渡す。
電文を読み、驚くモンシャルマン少将。
「これは、司令官、如何為さいますか?」
「罠かも知れん、しかし見捨てる訳にもいかんだろう」
ビュコックは本質的には戦略家ではなく戦術家であって、その気質が罠の危険性を配慮しつつも、ヴァンフリート4=2宙域へと艦隊を急行させる事を決断させた。
幕僚達に自分の判断を伝え艦隊をヴァンフリート4=2上空への急速移動
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