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銀河英雄伝説〜悪夢編
第二十三話 ガキの相手は御免だな
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は少ない。
「アンネローゼ」
「男爵夫人」
声をかけると微かに笑みを浮かべた。ゆっくりと彼女に近付く。並んで立ちながら庭を見た。外は眩いほどの夏の光に満ちている。

「聞いたわ、あれは本当なの?」
「ええ」
「陛下がそのように?」
「いいえ、国務尚書と宮内尚書が……」
アンネローゼが首を振った。なるほど、この件の仕掛け人は国務尚書リヒテンラーデ侯か、陛下は説得された、拒否出来なかった、そういう事ね。

「どうするの」
「……総参謀長の所に行こうと思います」
「いいの、それで? あの事件は貴女の所為じゃないわ、イゼルローン要塞が落ちたのも」
私の問い掛けにアンネローゼは視線を伏せた。

「確かにそうかもしれません、でも無関係ではないと思います。そして総参謀長が怪我をされたのも事実です」
「……」
「それに、これ以上宮中に居るのは危険だと言われました。いずれ反乱軍が攻め寄せて来る、そうなれば私を責める声、いえ処罰を求める声が出るだろうと。そうなった時、陛下は私を庇いきれないだろうと……。元々は私と侯爵夫人、そして陛下の問題なのですから……」
溜息が出そうになった。

「爵位と所領は如何するの?」
「全部お返しします」
「爵位はともかく所領は……、貴女、無一文になってしまうわ」
「多少の現金はあります。それに元々無一文でした。それに比べれば……」
クスッとアンネローゼが笑った。

「それにその方が安全だと……」
「安全?」
「ええ、無一文になって宮中を出ればもう責められることは無いだろうと。総参謀長が仰られたそうです」
「そうかもしれないけど……」

「明日、総参謀長と一緒に陛下に御挨拶をします、そして宮中を出ます。これからは総参謀長の官舎で暮らす事になります」
「官舎?」
「ええ」
皇帝の寵姫から軍人の妻、新無憂宮から官舎、我慢できるのだろうか?

「良いのね、それで。後悔しないのね?」
私が問い掛けるとアンネローゼが頷いた。愚問だったかもしれない、ここに居る事自体望んだ事ではなかっただろう。だとすればここを出る事になんの未練が有るだろう……。

「ラインハルトには報せたの?」
「いいえ、任務中ですから」
「報せた方が良いわ、私の方でやっておきましょう」
「でも……」
「きちんと報せない方が危険よ、変に敵意を持つ人間に教えられたらどうなるか……」


アンネローゼと別れ自邸に戻ると宇宙艦隊司令部にラインハルトと連絡を取る事の許可を申請した。本来なら任務中の艦隊に部外者が連絡を取ろうとすることなど許されない。だがラインハルトの任務は辺境警備、それほど重要というわけではない。許可を得る事は難しくなかった。

スクリーンにラインハルトが映った。
『男爵夫人、どうしたので
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