第???話
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女の話をしよう。
彼女は普通の、どこにでもいるただの幼い少女だった。
ある夜、彼女を残して全てが死んだ。
彼女の周りはまさに地獄、生者はたった二人だけ。
そして、幾年月が過ぎ、少女は立派に成長した。
立派に、歪んで成長した。
彼女は自身の無力さを嘆いた。
それがどれだけ見当違いな妄想なのか、彼女は気づかない。
例え真実を伝えていても所詮は幼女の戯言、誰の耳にも届かない。
それが分からない彼女ではないが、それも含めて自身の無力と、彼女は嘆く。
こじつけだ、屁理屈だ。
何を言おうと、彼女は全て自身の責任と嘆く。
嘆いて、嘆いて、そして強くなる。
これ以上悲しまないために、これ以上失わないために、彼女は力を求めた。
そして、彼女は力を手に入れた。
誰も失わせない力を手に入れた。
けれど、彼女は失いすぎた。
生命として当たり前な、生きる気持ちを失った。
人として当たり前の体を失った。
最後に、痛みを失った。
彼女は、すでに自分が人の道を外れたことに気がつかない。
それも当然か、彼女には自分が見えていない。
命をかけて仲間を守る。聞こえはいいが、なんと自分勝手なことだろう。
実際に命を落とした後のことを、彼女は考えてはいない。
彼女自身が悲しみを生むことを、彼女は知らない。
これは、歪んだ女の物語。
――――――――――――さあ、最後の舞台の幕開けだ。―――――――――――――――
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