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占術師速水丈太郎 白衣の悪魔
33部分:第三十三章
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水もまた悠然と笑って返す。まるで全てがわかっているかのように。
「どうでしょうか、そちらは」
「あら、わかってるのね」
 沙耶香も笑って速水に返す。
「そうよ。その通りよ。やっぱりそちらは気分じゃないから」
「やれやれです。では何でしょうか」
「北海道だからね」
 ここで言葉が思わせぶりになった。
「海のものが食べたいのよ」
「海のものですか」
 速水もまたその言葉に顔を向ける。まんざらではないといった様子であった。
「そうよ。お寿司かお刺身を」
「悪くないですね」
 そのまんざらでもない様子をまた見せる。
「それではどちらに行かれますか?」
「まだお店は開いているわよね」
「ええ、充分です」
 左手の腕時計を見ての言葉だった。見れば沙耶香もその懐から懐中時計を見ている。見るものは全く同じものであった。
「この時間なら」
「それじゃあ決まりね」
 沙耶香はそれを聞いて言ってきた。


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