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Black Engel and White Engels
ガニメデ行政府編
第1章
「シムアース1983」
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題を今の安全保障庁に任せて良いものかどうか・・・」
「全くだ。思わず言ってしまったあの発言に拍手喝采なのは問題だろう・・・」
2人で渋い顔をしていると、少し特徴的なダミ声のある御仁がやってきた。
「新年おめでとうございます。新年にふさわしくありませんな。そんな渋い顔は。」
やっぱりヘンリーだった。
「今年か来年には日本政府との折衝があるだろう。そろそろ草案を作るべきだとは思うのだが、なにせジェフ以下安全保障庁は全員超タカ派だ。そんな連中に草案を任せたら、何でもかんでも戦争しかねない。」
「そうですな・・・確かに今の安全保障庁はタカ派過ぎます。統合参謀会議議長以下、制服組を交代させて軍から抑えるようにしてはどうでしょうか?」
ヘンリーが意外な提案をしてきた。
「どう思う?ジム。」
「一理ありますな。実力集団ができないと言えば、外交交渉なり何なりで対処可能です。外交交渉の案件もできますから、少し連中に水をかけられるでしょう。」
「問題は、日本政府との交渉を誰がするかだが、ヘンリー、君の推薦は?」
私の質問に、少し表情を固くしたヘンリーは意外な名前を口にした。
「ズビグを中心に交渉団を編成しましょう。」
1月7日・鎮守行政府本庁舎・柊一馬
執務室をノックする音がした。
「入り給え。」
私の言葉に反応して、数名の人物が私の執務室に入室した。
私は読んでいた書類から顔を上げた。
「みなさん揃いましたね?早速でお願いしますが、日本政府と合衆国政府と締結できる協定の草案を作成してください。」
「我々が、ですか?」
安全保障担当補佐官の一人、ズビグが驚いた声を上げた。
「そうです。外交安全保障庁ではタカ派過ぎて危険です。私は最小限の戦争にはコミットせざるを得ないと考えていますが、連中に任せると世界大戦を起こしかねません。これはオフレコですが、各軍首脳の交代を考えております。」
私の言葉に、全員が絶句していた。
ここに集めたのは、ズビグと政策担当補佐官のマック、外交安全保障庁のハト派官僚5名と情報庁5名である。この12名でタスク・フォースを編成して交渉の草案を作成させる。
まるで吉田茂だな。
「これは指示ですか。」
驚愕から立ち直ったマックが質問を投げかけてきた。
「そうです。年内か来年には交渉をすることになるでしょう。それまでに、妥結可能な草案を作ってください。主は安全保障面になるとは思いますが、場合によっては食料・鉱物資源・燃料資源の提供を求められるかもしれません。その際の対応もお願いします。」
その言葉に、またも連中は驚愕したものの、先程とは違い、興奮を混ぜた表情をしている。
「よろしくお願いします。」
私の言葉に、12人全員が頷いた。
・1986年1月7日
対日本政府、
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