暁 〜小説投稿サイト〜
Black Engel and White Engels
ガニメデ行政府編
第1章
「シムアース1983」
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難の道程だった。
都市整備計画では都市整備庁と都市計画庁が主導権争いで紛糾するわ、軍事整備計画では陸海空入り乱れて主導権争いを行なうので、収拾がつかなくなり大変だった。
とはいえ、いまではその両計画は終了し、我々は有数の兵力と基盤となる都市を保有する一大勢力となった。これは一強といっても差し障り無いだろう。
この過程で、私は2回の戦争の開始と終結の決断を行った。
確かに、これらの戦争によって各軍は精強になり、各情報機関もインテリジェンスの経験を積むことができたのは事実だ。
だが、そのためにこの星におそらく我々よりも前に住んでいたであろう、人類型の知的生命体と2回戦うこととなった。
その結果は、いや、装飾なく言えば「殲滅」か「絶滅」に追い込んでしまった。
私の決断で。
言ってみれば私は、「ウルトラセブン」におけるノンマルトを殲滅した地球人、そしてキリヤマ隊長になったわけだ。
状況管理対応室
(
シチュエーション・ルーム
)
でその戦況を確認していた私は、そのことにふと
気づいて思わず叫んでいたよ。
「奴らの都市、国家は、生活圏は完全に粉砕した!われわれの勝利だ! この星もわれわれのものだ! われわれの先進を邪魔する者は二度と現れないだろう!」
と。
それを見て、部屋にいたスタッフは皆唖然としていたが、安全保障庁の首脳部は拍手を送っていたよ。
ふと我に返ると、それは恐ろしい光景だ。
最高指導者がとんでもない好戦的な言葉を口にし、おそらくヒトラーかスターリンかマオかポルポトぐらいしか言わないであろう言葉をはいた指導者に、軍事と外交の責任者たちが拍手喝采なのだから。
この政権は超好戦的な政権なのかもしれない。
この星だけであって、
東京政権
(
日本国政府
)
および
アメリカ
(
合衆国
)
と協調する局面では、できればその様な超タカ派のコメントはしないでもらいたいと思う。
そんなことを考えながら、シャンパンに口をつけると側に首席補佐官がやってきた。
「閣下、新年おめでとうございます。」
「新年おめでとうございます。あと、その閣下はやめてください。ジム。」
「そうでした。すみません。柊さん。」
そう言って我々は苦笑した。
先の執政官就任の際に、「閣下」などと呼ぶな!とスタッフに指示をしている。
それは徹底しなければならない。私は尊大意識を持ちたくはない。
「ジム。今年の課題はなんだと思う?」
私はベーカー首席補佐官に問題を投げかけた。
「そろそろ久瀬絵里嬢が記憶を取り戻す頃でしょう。それへの対応を進めなければなりません。日本政府との協定の内容を考えさせましょう。」
ベーカーは少し渋い顔をして答えた。はて?この御仁がこんな渋い顔をするのは珍しい。
「どうかしたのか?ジム?」
「いえ。この問
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