32部分:第三十二章
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は手に何も持ってはいないのであった。
いや、持っていた。それは糸の玉であった。それを右手に持っているだけであった。
「覚悟はいいかな」
「いいえ」
沙耶香は右手にその糸の玉を持ったまま笑みで返してきた。
「それに頷くつもりはないわ」
「往生際が悪いね。そういうのってよくないよ」
魔人は沙耶香だけでなく二人に対して言った。
「これで僕の勝ちは決まりなんだから。諦めないと」
「いえ、私達の勝ちです」
しかし速水がここで言ってきた。
「勝ち!?君達が!?」
「はい」
魔人に対して答える。
「そうです。その証拠に」
「動けるかしら」
二人はそれぞれの口で問うてきた。
「今ここで」
「面白いことを言うね」
魔人はその言葉を聞いてゆっくりと前に出ようとする。
「そんなのこうやって・・・・・・んっ!?」
だがここで異変が起こった。魔人は動けない。まるで金縛りにあったかのように。全く動けはしなかったのだ。
「これは・・・・・・一体」
「こういうことです」
速水が彼に言う。
「これもまた術なのですよ」
「私達のね」
今度もまた二人で言ってきた。
「術・・・・・・まさか」
「そのまさかです」
速水はその手に持っているカードを彼に見せてきた。それは十二番目のカードである吊るし人のカードであった。
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