幕間
Trick@03-3_なんで苗字を≪西折≫に変えたのか聞きたいです!
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だけど美鈴は諦めずに抱きしめ続けた。
美雪が正気に戻るまでずっと・・・・・
暴れ続ける美雪を抱きしめ、暴れ疲れて意識を失うまでずっと美鈴は側にいた。
意識を失った後では呼びかけても意味がない。
眠っている今の内に美鈴も食事など休憩をとり、長期戦に挑み続けていた。
そして半月後、ようやく意識はあるが暴れない状態の美雪にまで落ち着いた。
落ち着いたと言っても、いつ暴れ出すか分からない危険な状態。
美鈴は焦らず、何も言わずにずっと美雪の背中をさすり続けた。
「鈴・・・ねぇ・・ちゃん」
「!? ・・・何、雪ちゃん?」
美雪が口を開いたのはさらに半月後のことだった。
その声は1月の間、声を出さずにいたのに枯れた状態。
最初の1ヵ月でどれほど喉を酷使して叫び続けたのか痛いほど感じられた。
正面から抱きしめ、美雪の口が美鈴の耳元にある状態だから聞きとれた、
それほど小さくか細い声だ。
「信乃・・・・本当に死んじゃったの?」
「・・・・・・・・・」
「そうだよね・・・・・・
私がこんなになっているのに側にいないってことは、そういうことだよね」
「・・・・・・・・ごめんね、私にはこれぐらいしかできなくて」
「信乃・・・・本当に死んじゃったの?」
最初と同じ質問。
現実を理解しても受け入れたくない、そんな気持ちが伝わる。
「ええ。だめ・・みたい」
「そっ・・・か・・・・
ヒック・・・・・信乃・・・信乃・・・」
信乃が死んでから初めて涙を流した。
錯乱し、暴れ、悲鳴をあげても、涙を流す事が無かった。
この涙は信乃の死を受け止め、そして深い悲しみに出た涙だった。
美雪の背中をさすり、美鈴は静かに言った。
「雪ちゃん・・・・
信乃の代わりなんてことは絶対に無理だろうけど、
それでも信乃の代わりに雪ちゃんを守りたいと私は思っている。
色々な方法を考えたけど、家族みたいに支えるのではなくて
家族として雪ちゃんを支える方法しか思いつかなかった」
「・・・・・鈴姉ちゃん」
「だから小日向美雪ちゃん、よかったら家の養子にならない?」
それは半年前、美鈴が信乃に対していった言葉であった。
国から見ると、美鈴と美雪は赤の他人である。
いくら助けたいと言っても、法律上では限界があった。
そして何より、家族を失った悲しみを埋める方法は家族を作る方法しか
思いつかなかった。
たとえ信乃との絆に及ばなくても、元々あった美鈴との絆が少し強くなる程度でも、
それでも家族としての絆が美雪には必要だと考えた。
「美雪ちゃん、私の本当の
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