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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第15話 「フッ、坊やだからさ」
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いたのだ。

「どう思う? メックリンガー」
「どう思うと聞かれてもな」

 メックリンガーは首を捻っている。
 卿にも分からんか?

「それは、アレだろう。俺にも覚えがあるぞ。あれぐらいの年頃の男は、だな。年上の女性というものに憧れるときがあるのだ」
「ビッテンフェルト。卿にもそんな頃があったのかっ」
「卿らは俺をどう思っていたのだ?」
「しかしだ。ビッテンフェルトの言う通りかもしれんな。かくいう私も、時折すれ違う女性の姿に胸をときめかしたものだ」
「メックリンガー。卿にも覚えがあるのか?」
「ああ、あったとも」
「会いたさ、見たさに、用もないのに道をうろうろしたりな」
「そうだな。ミッタマイヤー。気にする事は無いと思う。麻疹のようなものだ」

 ■宰相府 ジークフリード・キルヒアイス■

 キルヒアイス。俺は悟ったのだ。
 姉上が変わってしまったのは、皇太子のせいだと。
 夕べ、研修先のミッターマイヤー准将の家に行った。そこでミッターマイヤー准将の奥方と出会ったのだ。
 まるで以前の、皇太子の下に連れ攫われる前の姉上のようなお方だった。
 あのような女性は確かにいるのだ。
 姉上もそうだったはずなのに!!
 俺は何を呆けていたのだ。呆けていた俺を見て、やつは笑っていたのだろう。
 めらめらと、この胸に燃え上がる怒りの炎を、奴にぶつけてやりたい。
 やつが、やつこそが、諸悪の大元だ。
 確かに、皇太子としては優秀であり、有能でもあるのだろう。
 しかし個人としてみれば、ろくでなし以外の何者でもない。
 ええい。腹が立つ。
 呪縛から解き放たれた俺は、もう二度と奴に負けぬ。
 あんな大人には絶対にならないからな。
 キルヒアイスも気をつけるんだぞ。
 油断は禁物だ。

 ラインハルト様からの手紙には、皇太子殿下に対する怒りが、行間から溢れてきそうだった。
 しかしながらそんな事は、最初から分かっていた事でしょう。とも言いたくなる。
 アンネローゼ様ですら、気づいていた事にお気づきなっていなかったとは、私の方が呆然とする気持ちです。
 ですが、ようやくラインハルト様は復活なされた。
 喜ばしい事です。
 ですが……。寵姫として集められたはずの女性たちが、宰相府に集まっています。
 机も増えました。
 寵姫とはいったい何なのでしょうか?
 私には分かりません。

「わたくしはこの度、皇太子殿下の秘書官に任命された。アレクシア・フォン・ブランケンハイムと申します。よろしくアンネローゼ・フォン・ミューゼル様」
「がるるー」

 新しく来られたアレクシア様とアンネローゼ様が睨みあっています。
 胃が痛いです。

「ジーク。大丈夫?」
「大丈夫ですよ。マルガレータ・
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