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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第15話 「フッ、坊やだからさ」
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 おまけにジークもだ。
 こはいったい何事ぞ。
 う〜む。
 アンネローゼの方を観察してみる。
 見た目は変わっていない。
 だが雰囲気は確かに変わった。
 前から思っていた事だが、原作のイメージはもはや、どこにもない。
 あの儚げな薄幸の美人というイメージだ。
 妙にアグレッシブになりやがって。
 そういう意味では、アンネローゼも変わったよなぁ〜。
 そして今では、肉食系女子になってしまった。
 うわ〜。すごい変わりようだ。
 もしかして、こいつら……綺麗で優しいお姉ちゃんが、イケイケになった事に怯えてんのか? 俺を慕っているというよりも、姉ちゃんが怖いからって、俺の背中に隠れてんじゃねえか。
 ええい。不甲斐ない奴らよ。
 大和撫子など、もはやおらんのだ。
 貴様らには、覚悟が足りない。
 ラインハルトの意外な弱点かも知れんな。
 女性関係に弱い。
 とはいえ、ラインハルトもまだこどもだし。ジークもか。
 生々しい女は、苦手なんだな。

「どうしたの。ラインハルト、ジーク」

 ラインハルトがビクッとする。
 お前なぁ〜。自分の姉ちゃんだろう。
 そんなに怯える事はあるまい。
 取って食われるわけじゃなし。
 まさか、いや、そんな事、あろうはずがない。
 考えろ。考えるんだ。原作でのラインハルトを。
 原作では、姉ちゃん、姉ちゃんとシスコン丸出しだった。それだけならまだいい。しかしラインハルトから別の女の話を聞いた事が無い。
 強いてあげるなら、ヒルダだけだ。それにしても大抵は政治関係だったな。
 はは〜ん。なるほどなるほど。
 ラインハルトにとって、アンネローゼは理想の女性なんだな。
 そして、俺はラインハルトの理想、つ〜か幻想を打ち砕いた。というわけか。
 ふっ、笑ってやる。
 現実なんてひどいもんさ。男も女も生きてんだ。生々しくってどこが悪い。
 ちっとばかり甘やかしすぎたか……?
 いつまでも俺のところに、居させる訳にはいかんようになったな。
 ちょっと他人の飯を食って来い。
 かわいい子には旅をさせろともいうし、な。

 ■宇宙艦隊司令部 ウォルフガング・ミッターマイヤー■

 皇太子殿下の下にいたという幼年学校の少年が研修で、俺のところに来る事になった。
 ラインハルト・フォン・ミューゼルというのだ。
 当初は、どうしたものかと思ったものだが、ラインハルトは頭が良い。
 俺の言う事を、きちんと把握して行動する。
 それどころか俺の言う事を先回りすらするのだ。

「今日のところは俺の家で、飯でも食っていけ」
「宜しいのですか?」
「ああ、エヴァも楽しみにしてるからな」

 そうして家に連れて行ったら、ラインハルトはエヴァを見て、呆然として
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